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第12回

コンフォート・ゾーンとホメオスタシスが、自己イメージをさらに強化する

2019.04.25更新

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臆病、意地っ張り、せっかち…。あなたは自分の「性格」に苦労していませんか? 性格は変えられないというのはじつはウソ。性格とは、人が生きていく上で身に付けた「対人戦略」なのです。気鋭の認知科学者である苫米地英人博士が、性格の成り立ちや仕組み、変え方などを詳しく解説します。
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 なお、自己イメージの固定化・強化には「コンフォート・ゾーン」と「ホメオスタシス」も大きく関わっています。
「コンフォート・ゾーン(comfort zone)」とは、その人が「居心地が良い」と感じ、自然にふるまうことができる、意識の中のエリアのことです。
 また「ホメオスタシス(homeostasis)」とは、外部の環境が変化しても、体を一定の状態に保とうとする、生物の体の仕組みのことです。
 暑いときに、汗をかくことで体温の上昇が抑えられるのも、糖分をとったときにインシュリンが分泌され、血糖値の上昇が抑えられるのも、ホメオスタシスの作用です。

 そしてホメオスタシスは、体だけでなく、脳の働き、情報空間にも作用します。
 人は無意識のうちに、「自分らしい」「居心地がいい」と認識している状態、つまりコンフォート・ゾーンを維持しようとします。
 たとえ良い方向へのずれであっても、そこから自分がはみ出すこと、はみ出すような行動をとることに対し、抵抗感を覚えてしまうのです。

 プラスの自己イメージを持ち、「自分は素晴らしい人間だ」と認識している人は、無意識のうちに自分の能力を最大限に発揮し、自分の価値が高まるような行動をとろうとします。
 しかしマイナスの自己イメージを持ち、「自分は恥ずかしい人間だ」と認識している人は、無意識のうちに、自分の評価を下げるような行動をとろうとします。
 そのため、ますます能力が発揮しにくくなり、失敗したり、満足のいかない結果に終わったりすることが多くなってしまいます。

 たとえば、あなたが「自分はくよくよする人間である」という自己イメージを持っていると、それがあなたにとってのコンフォート・ゾーンになり、ついくよくよしてしまいます。
 くよくよすることに、無意識のうちに居心地の良さを感じているからです。
 何かあるたびに胃が痛くなる、物が食べられなくなるなど、体に影響が出ることもあるかもしれません。
「自分は人見知りだ」という自己イメージを持っている場合は、初対面の人を前にしたときに気後れするばかりでなく、緊張し動悸(どうき)が止まらなくなるといった反応も出るでしょう。
 しかも、コンフォート・ゾーンは非常に強固であり、ホメオスタシスは非常に強力です。あなたがどれほど強く「自分の性格を変えたい」と願っても、すでにできあがっているコンフォート・ゾーンからはみ出さないよう、ホメオスタシスの作用が、あなたの思考と行動を制限します。
 それどころか、「くよくよするのをやめたい」などと思えば思うほど、脳は「くよくよすること」を重要な情報であると認識し、ますます自己イメージが強化されるという悪循環も起こってしまうのです。

■ ポイント

・人は無意識のうちに「自分らしい」状態=コンフォート・ゾーンを維持しようとする。
・体と心の状態を一定に保とうとするホメオスタシスの作用は強力。

 

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著者

苫米地 英人

1959年、東京都生まれ。認知科学者、計算機科学者、カーネギーメロン大学博士(Ph.D)、カーネギーメロン大学CyLab兼任フェロー。マサチューセッツ大学コミュニケーション学部を経て上智大学外国語学部卒業後、三菱地所にて2年間勤務し、イェール大学大学院計算機科学科並びに人工知能研究所にフルブライト留学。その後、コンピュータ科学の世界最高峰として知られるカーネギーメロン大学大学院に転入。哲学科計算言語学研究所並びに計算機科学部に所属。計算言語学で博士を取得。徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、通商産業省情報処理振興審議会専門委員などを歴任。

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