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胎内記憶でわかった こどももママも幸せになる子育て 産婦人科医 池川明

第12回

「親子のはじまり」がわかると、親子関係ががらりと変わる

2017.10.30更新

読了時間

人間の神秘「胎内記憶」から子育てを考える。胎内記憶研究の第一人者の医師がたどり着いた境地とは? 親の論理ではなく「子どもの本音」に耳を傾けた、子どもの「才能=生きる力」を強くする胎教法と育児法を紹介。
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 胎内記憶をもつ子どもたちから話を聞くようになって、もっとも驚いたのはこの話でした。

「お母さんを選んで生まれてきた」

 それも、多くの子どもたちがそう言うのですから、信じざるを得ません。まだ、お母さんのお腹に入る前ですから、たましいという状態のときと考えればいいと思います。

子どもたちがお母さんのお腹の中での記憶を語るだけでも驚きなのに、お母さんのお腹に宿る前の話まで出てくると、さすがの私も、「まさか」と首を傾げました。でも、インタビューを続けると、子どもたちがお腹に入る前の記憶を次々と披露してくれるので、これは無視できるものではないと、ずっと調査を続けてきました。

「雲の上では、ちっちゃい子は神さまと一緒にいるの。お手伝いの天使と妖精もいる。お母さんは自分で決めて、神さまに言うの。神さまはダメとはいわないよ」

「神さまに、生まれていいですよっていわれると、羽をつけてもらって、空を飛んでいくの。すると、扉がある。まわりは透明な壁になっていて、そこは通り抜けられないので、扉を開けていく。それからお母さんをさがして、お腹の中に入るの。天使がついてきてくれるから、一緒におなかに入ったら、羽をとってもらうの」

 神さまや天使、妖精が出てくることが多いのは、あちらの世界には、お世話をしてくれる、ありがたい存在がいるのでしょう。彼らの話を総合すると、お母さんのお腹の中にくる前は、子どもたちは目に見えない形でいるようです。これをここでは「たましい」と呼んでいます。たましいという状態で、ある一定の期間、神さまや天使のような存在と過ごします。まわりには、同じようなたくさんのたましいたちがいます。たましいのときには、過去のことを反省したり、次の人生を考えたりするようです。そして、どのお母さんのもとに生まれるかを決めて、そのお母さんのお腹に入るのです。

 ある男の子は、自分は丸い光の玉で、あぐらをかいて座っている大仏さまみたいな神さまから、お母さんをだれにするか聞かれたと言っていました。お母さんを選ぶとき、一番多いのは、テレビみたいなモニターで見て決めるというものです。テレビではなく、のぞき穴からのぞいていたという子どももいます。

 どういうかたちでお母さんのお腹に入るの? と聞くと、「滑り台で滑っていく」とか「虹をつたってお腹に入った」と言う子どもがいたり、「神さまが、丸くて青い光の玉にして、お母さんのお腹の中に送ってくれる」と言う子がいたりします。

「お腹に入ったときは、マンションの5階に住んでいたよね」と、お母さんに言った男の子がいました。お母さんはびっくりしました。確かに妊娠中はマンションの5階に住んでいました。しかし、彼が生まれてすぐに引っ越しをしたし、そんなことは、その子に話したこともありません。なのに、どうしてわかったのだろうと、首を傾げていました。

 子どもがお母さんを選んで生まれたということが本当なら、これは天動説が地動説に変わったことに匹敵する衝撃です。

 よく、思春期の子どもが親に向かって、「頼んで産んでもらったわけじゃねえよ!」と毒づきますが、そうじゃなかったんです。

「子どもは親を選べないから」と言う人もいますが、それも違っていたらしいのです。

 赤ちゃんは、お父さんとお母さんが愛し合って、精子と卵子が結合し、十月十日、お母さんのお腹の中で育ってから生まれます。どんな赤ちゃんが生まれるかは、遺伝子が決めるという考え方が常識で、そこに、まさか赤ちゃん自身の選択とか意志が入っているなんてことは、だれも考えもしませんでした。でも、胎内記憶のある子どもたちは、自分で選んで、この両親のもとに生まれてきたんだと言っています。1人や2人ではありません。3000人以上にアンケート調査をしてのことです。話を聞いた時間も場所も違いますから、だれかが言ったことに影響を受けてのことでもありません。

「頼んで産んでもらったわけじゃない」と親にかみついている子どもは、自分で選んできたことを忘れてしまっているだけのことかもしれません。もし、本当に選んできていることを思い出したとしたらどうでしょうか。親との関係が変わるでしょうね。

 この話をして一番変化するのはお母さんです。子育てで苦労していても、「ああ、この子は私を選んでくれたんだ」と思えたら、どうでしょうか。泣き叫ぶ子にだって、頬ほおずりをしたくなるのではないでしょうか。

 ひょっとしたら、というくらいなアバウトな感じでもいいじゃないですか。この子は自分を選んできてくれたのかもしれない、と思ってください。子育ての大変さが軽くなるかもしれません。あやしたり、おっぱいをあげたり、おむつを替えたりといった、手がかかることが喜びになるかもしれません。

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著者

池川 明

1954年東京生まれ。帝京大学医学部大学院修了。医学博士。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、1989年に池川クリニックを開設。胎内記憶・誕生記憶について研究を進める産婦人科医としてマスコミ等に取り上げられることが多く、講演などでも活躍中。母と子の立場に立った医療を目指している。著書に『おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと』『ママのおなかをえらんできたよ。』(以上、二見書房)『笑うお産』(KADOKAWA)など多数。

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