第6回
【認知症介護の本】ユマニチュードの技術1 見る(上)
2018.09.06更新
ユマニチュードは、フランスで生まれ、その効果の高さから「まるで魔法」と称される介護技法です。ユマニチュードの哲学では、ケアをするときに「人とは何だろう」と考え続けます。人は、そこに一緒にいる誰かに『あなたは人間ですよ』と認められることによって、人として存在することができるのです。「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱を軸にした「技術」で、相手を尊重したケアを実現します。この連載では、ユマニチュードの考え方と具体的な実践方法を紹介します。
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ユマニチュードの技術1 見る
この章では「あなたのことを大切に思っています」と相手がわかる形で伝えるためのユマニチュードの基本的な技術をご紹介します。
まず、「見る」技術です。
相手が認識している視野に正面から入っていないと、気がついてもらえません。突然現れると、まるで交差点で車が飛び出してきたようにびっくりさせてしまいます。
認知症の人が認識している視野は私たちが想像しているよりも狭いものです。視野の外から声をかけても、誰かが自分のそばにいるとは気がつかず、言葉も認識していないことが多いのです。それを理解してコミュニケーションを取っていく必要があります。「私がここにいますよ」と伝えるために、まずは、正面から近づいて相手の視線をとらえます。
◆視野に入って話しかける
▲近いところから視野に入るとびっくりさせてしまいます。
▲横から話しかけても気づきません。
▲遠くから相手の視野に入ってゆっくり近づきます。
◆正面しか見えません
▲正面しか見えないので、横から話しかけても聞こえません。
▲上から話しかけても気づきません。
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lion
2024.08.22
どうして正面しか見えないのでしょう