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第10回

よくある困った状況とその対応

2018.09.20更新

読了時間

【この連載は…】NHK「あさイチ」などで話題!フランスで40年近く実践されてきた、“人間らしさ”を尊重するケア技法を、はじめて家族介護向けに紹介した本が8月24日に発売!刊行を記念して、本文のエッセンスを全12回にわたって連載します。
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ごはんを食べてくれない

 この章では、ご家庭でよく経験する困った状況に、ユマニチュードの考え方や技術をどのように使ったらよいかを具体的に考えてみることにします。
 せっかく用意したのに、いつまでもごはんを食べてもらえないときに、「早く食べて!」と急かすだけではうまくいきません。「介護では相手とよい関係を結び、よい時間を過ごすことを目的とする」ことは、食事についても同じです。
 一緒に食卓を囲んで分かち合いながら食事をすることで、食べてもらえるようになることもあります。さらに、認知症の方の場合には、これまでご紹介してきた病気の特徴に対応した介助の方法が役に立ちます。具体的な例をいくつかご紹介します。

どれから食べてよいかわからない

 認知の機能が低下すると、物を選択することが難しくなります。
 そのため食卓にたくさんのお皿が並ぶと、どれを選んだらよいのかわからなくなって混乱します。
 そんなときは、目の前に一つずつお皿を出して、選ばなくてもよい状況をつくるとよいかもしれません。

食べ物を認識できるようにする

 認知症の特徴として、視野が狭くなって正面にある物しかわかりにくくなっていることがありました。そのため、食事の介助をするときには、お皿に載っているものをスプーンですくってそのまま口元に運ぶと、いきなり口に何かが突っ込まれたと、びっくりしてしまう可能性があります。スプーンですくったら、一度相手の目の高さまで上げて、「このお肉をこれから食べますよ」とお示しになってください。
 よくお受けする相談に「食事を介助するときに口を開けてくれない」ということがありますが、食事がそこにあることを認識できていないので、口を開けてくれないのかもしれません。「食事がここにありますよ」と、ご本人が認識できるように知らせてみてください。

▲見えていない物を突然口に入れられると、びっくりします。

▲「これを食べましょう」と視界に入れた後で口へ運びます。

お箸やスプーンが使えないことも

 さらに認知症が進行すると、「手続き記憶」も失われてしまい、お箸やスプーンをどのように使ったらよいか忘れてしまうこともあります。一緒に食卓について「こうするんですよ」と示すこともできますが、それでもわからなくなってくれば、道具を使わずに食べる工夫をします。おにぎりにしたり、カナッペのように指でつまんで食べられるような形でお出しすることもよいかもしれません。

味覚も変化する

 また、年齢を重ねると味覚も変化してきます。とくに舌の味を感じる細胞(味蕾(みらい))の数が減ると、塩味や甘味を感じにくくなってしまいます。だからといって、塩の量をどんどん増やしては体に悪いので、塩の代わりに酸味や香辛料、香味野菜などを使うと、おいしく食べてもらえる可能性が高まります。

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著者

イヴ・ジネスト/ ロゼット・マレスコッティ/本田美和子

【イヴ・ジネスト】ジネスト‐マレスコッティ研究所長。トゥールーズ大学卒業。体育学の教師で、1979年にフランス国民教育・高等教育・研究省から病院職員教育担当者として派遣され、病院職員の腰痛対策に取り組んだことを契機に、看護・介護の分野に関わることとなった。【ロゼット・マレスコッティ】ジネスト‐マレスコッティ研究所副所長。SASユマニチュード代表。リモージュ大学卒業。体育学の教師で、1979年にフランス国民教育・高等教育・研究省から病院職員教育担当者として派遣され、病院職員の腰痛対策に取り組んだことを契機に、看護・介護の分野に関わることとなった。【本田美和子(ほんだ・みわこ)】国立病院機構東京医療センター総合内科医長/医療経営情報・高齢者ケア研究室長。1993年筑波大学医学専門学群卒業。内科医。国立東京第二病院にて初期研修後、亀田総合病院等を経て米国トマス・ジェファソン大学内科、コーネル大学老年医学科でトレーニングを受ける。その後、国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センターを経て2011年より現職。

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