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第7回

ユマニチュードの技術1 見る(下)

2018.09.11更新

読了時間

【この連載は…】NHK「あさイチ」などで話題!フランスで40年近く実践されてきた、“人間らしさ”を尊重するケア技法を、はじめて家族介護向けに紹介した本が8月24日に発売!刊行を記念して、本文のエッセンスを全12回にわたって連載します。
「目次」はこちら

「正面から、近く、水平に、長い時間見る」ことが伝えるメッセージ

 見ることは、単に自分が視覚的な情報を得るだけでなく、相手にいろいろなメッセージを伝えています。
 正面から見ることで自分が相手に対して正直であること、近くから見ることでとても親密な関係にあること、水平に見ることで互いが平等な立場にあること、長く見ることで好ましく思っていることを相手に伝えています。
 反対に、自分はそんなつもりは全然ないのにも関わらず、ベッドで寝ている人に立って話しかけるときのように上から見下ろすことによって「私の方が強い」という力関係を示すメッセージを、また、ちらっとしか見なかったり、目の端でしか見なかったりすることで相手を軽んじているというメッセージを相手が受け取ってしまう可能性があるのです。
 とりわけ近くから見ることが、最初は難しいです。誰かと向き合うとき、人は自分が心地よいと感じる空間を確保します。これをパーソナル・スペースと呼んでいます。一般にその距離は腕の長さくらいです。それより近づくと居心地が悪く感じてしまい、のけぞったり、後ずさりしてしまいます。

◆正面から、近く、水平に、長く見る

相手に見てもらえるように、思い切って近づく

 しかし、認知の機能が低下している人はそうではありません。かなり近づかないと、自分に何か用事がある人なのだとわかってもらえません。互いに20センチくらいの距離まで近づいても、もっと顔を寄せてくることすらあります。ここで大切なのは、適切な距離は「ケアを受ける人が決める」ということです。相手が後ずさったり、のけぞったりすれば、それは近づきすぎです。適切な距離は、同じ人であっても状況によって変わってきます。コミュニケーションの第一歩として、見るための適切な距離を常に測りながら近づいてみてください。
 また、長く見ることは好意を示す表現である一方で、無言でじっと見つめられると暴力的に感じます。そのため、相手と目が合ったな、と感じたらおおよそ2秒以内に話しかけます。同時に複数のコミュニケーションの柱を使う、つまりこの場合は「見ながら、話す」ことをマルチモーダル・コミュニケーションと呼びます。
 思い切って近づいても、相手の目を見ることが恥ずかしかったり、無理だと思うときには、相手の視線をつかみにいって、相手の目の中に映る自分を見つけてみてください。多くの場合、アイコンタクトをとることがそれほど難しいとは感じなくなっていきます。
 相手の視界の中心に入るよう、自分の位置を考えることも大切です。腰が曲がっていつも地面を見ているような方の場合には、下からのぞくようにして視界に入り込むことも必要です。

◆視線をつかみにいく

▲相手の視界に入るように、自分の位置を変えます。

▲円背の方の場合には、下からのぞくようにします。

※ユマニチュードのその他の技術「話す」「触れる」「立つ」については、書籍で紹介しています。ぜひ手に取ってみてください。

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著者

イヴ・ジネスト/ ロゼット・マレスコッティ/本田美和子

【イヴ・ジネスト】ジネスト‐マレスコッティ研究所長。トゥールーズ大学卒業。体育学の教師で、1979年にフランス国民教育・高等教育・研究省から病院職員教育担当者として派遣され、病院職員の腰痛対策に取り組んだことを契機に、看護・介護の分野に関わることとなった。【ロゼット・マレスコッティ】ジネスト‐マレスコッティ研究所副所長。SASユマニチュード代表。リモージュ大学卒業。体育学の教師で、1979年にフランス国民教育・高等教育・研究省から病院職員教育担当者として派遣され、病院職員の腰痛対策に取り組んだことを契機に、看護・介護の分野に関わることとなった。【本田美和子(ほんだ・みわこ)】国立病院機構東京医療センター総合内科医長/医療経営情報・高齢者ケア研究室長。1993年筑波大学医学専門学群卒業。内科医。国立東京第二病院にて初期研修後、亀田総合病院等を経て米国トマス・ジェファソン大学内科、コーネル大学老年医学科でトレーニングを受ける。その後、国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センターを経て2011年より現職。

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