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第3回

【コラム】京都の市バスには暗黙のルールがある

2018.04.23更新

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元来、神社仏閣や日本庭園巡りは年齢層の高い人たちの趣味とされてきましたが、昨今ではSNSが身近になり幅広い世代が楽しんでいます。なかでも1200年の歴史がある京都はこの町でしか見ることのできない景色が残っており、そのひとつである日本庭園には様々な見どころがあります。本連載では、京都在住の庭園デザイナー・烏賀陽百合氏による、石組や植栽などの「しかけ」に注目して庭園を楽しむ方法を紹介します。
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 よく、他府県の人から「京都のバスは難しくて乗り方が分からない」と言われる。これは(1)バスの種類がありすぎて路線が複雑すぎる、ということと、(2)乗り方自体難しくて分からない、からだ。

 (1)は、京都人もよく分かっていない。自分が普段乗る路線以外はさっぱり分からないので、尋ねられても答えられない。大きな交差点になると同じ名前のバス停がそこら中にあり、どこで乗っていいのか分からない。特に「四条河原町」は地獄だ。バス停を探してさまようことも多々ある。

 (2)は、京都人にしか分からないルールがある。まず、京都人はバス停で並ばない。皆、バス停付近でふんわり待つ。そして、お目当てのバスが来たらサーッとバスの扉を目がけて集まってくる。これはいろいろな系統のバスがランダムに来るので、並んでも意味がないからだ。そして、京都の道は狭いので並ぶスペースもない。自分が乗りたいバスが来たら何となく集まって来るシステムは、よく出来ている。

 乗る順番にも暗黙のルールがあって、完全なる年功序列。先にバスに乗れるのはお年寄りだ。このルールを知らないで先に乗ろうとすると、場合によっては入口でもみくちゃになる。京都はお年寄りファースト、の街なのだ。

 最近はICカードを使えるようになったのでだいぶ精神的に楽になったが、つい最近まで、京都の市バスは現金か回数券しか使えなかった。運賃はおつりのないように払わないと、運転手から叱られる。細かいお金がなくて一万円札なんか出そうものなら、とても怒られる。マイクを使って「誰か一万円を細かくできる人いませんかー?」と聞かれる。ここで誰も名乗り出てくれないと地獄だ。この間バスはずっと止まったまま出発しない。お客さん達からの冷たい視線が背中に集まる。私はこれを「公開処刑」と呼んでいる。京都人ならばこれは誰しも経験があり、その恐怖から常に大量の小銭を持ち歩くようになる。私はいつも回数券を一枚、財布に入れていた。

 暗黙のルールを知らないと、京都の市バスは乗りこなせない。コツが必要なのだ。

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著者

烏賀陽 百合

京都市生まれ。庭園デザイナー、庭園コーディネーター。同志社大学文学部日本文化史卒業。兵庫県立淡路景観園芸学校、園芸本課程卒業。カナダ・ナイアガラ園芸学校で3 年間学ぶ。イギリスの王立キューガーデンでインターンを経験。2017年3月にN Yのグランドセントラル駅構内に石庭を出現させ、プロデュースした。現在東京、大阪、広島など全国のNH K文化センターで庭園講座、京都、鎌倉でガーデニング教室を行う。また毎日新聞旅行で庭園ツアーも開催。著書に『一度は行ってみたい 京都絶景庭園』(光文社)がある。

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