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よみものどっとこむ

胎内記憶でわかった こどももママも幸せになる子育て 産婦人科医 池川明

第1回

子どもが教えてくれる子育て

2017.09.21更新

読了時間

【 この連載は… 】 人間の神秘「胎内記憶」から子育てを考える。胎内記憶研究の第一人者の医師がたどり着いた境地とは? 親の論理ではなく「子どもの本音」に耳を傾けた、子どもの「才能=生きる力」を強くする胎教法と育児法を紹介。

「どうしたら親としての自覚をもてるのでしょうか?」

 ある講演会で、若いお母さんが深刻な表情で質問をしてきました。

 子どものことはとてもかわいいし、子どもにあれこれ話しかけてはいるのだけれども、人から言われたり、本に書いてある通りにやったりしているだけのような気がして、自分が本当に愛情をもって子どもに接しているのか自信がもてないって言うんですね。このままで、きちんと子どもを育てられるのだろうかと、彼女は、いつも不安でたまらないようです。

 今は、出産にしても、育児にしても、お母さんたちはだれもが不安でいっぱいです。私は産科医ですが、このような不安を抱えるお母さんたちから、こういう状況ですが、どうしたらいいですか? 何をすればいいですか? と、じつにいろいろな質問を受けます。本屋さんへ行けば、出産や育児に関する本はいっぱい並んでいますし、インターネットを開けば、いくらでも情報を手に入れることができます。しかし、本やインターネットの情報は、通り一遍なものが多くて、不安解消の手立てにはならないようです。産科医や助産師さんに聞いても、なかなかぴたっとくる答えが得られません。

 冒頭のお母さんも、たくさんの育児書を読んできたようです。でも、読めば読むほど、どうしていいかわからなくなってしまって、私の講演会にまで足を運んでくださって、たくさんの方がいる中で、勇気をもって質問してくださったのです。

 どうしたら、こういうお母さんたちの出産や子育てに関する不安を取り除いてあげられるのか、それこそ、私が悩んでしまいました。せっかく、頼って来てくださるのですから、少しでも力になりたいと思うわけです。

 私のまわりには、たくさんの子育て経験者がおられます。そういう方々にも相談をしました。そういう人たちが、私にアドバイスしてくださったのは、「胎内記憶」のことをもっともっと伝えていくことじゃないですか、ということでした。

 胎内記憶というのは、生まれる前の記憶のことです。私は、1999年ごろから、胎内記憶の調査を続けています。

 もともと、私は生まれたときの赤ちゃんは何もわからないと信じていた産科医でした。しかし、退行催眠の内容で書かれた『生きがいの創造』(飯田史彦、PHP研究所、1999年)を読んで、うんちくをかたむける調子で胎内記憶のことをスタッフに話したら、「ありますよ」となんでもないことのように言われてしまいました。これがきっかけで、調査を始めることになりました。すると、驚くことに、2〜5歳の子どもの約3割が、胎内記憶をもっていることがわかったのです。

 さらに子どもたちからの聞き取り調査を続けるうち、胎内の記憶のみならず、お母さんのお腹に入る前の様子も頻繁に聞くようになりました。お腹に入る前ということは、体がないわけで、つまりはたましいの記憶? という話になってきます。それも、「ママを選んできた」と話すのですから、これには驚きました。私の考え方が大きく変わりました。不思議な話ですが、それを受け入れてしまうと、世の中を見る目がまるで変わってしまって、うれしいことに、私は産科医として妊娠出産にかかわれることを幸せと感じるようになっていきました。現在の産科医を取り巻く環境は決して良いものではなく、制度、訴訟などすべてにおいて産科医のモチベーションが下がることばかりなので、その環境に一石を投じたこの現象は、自分にとってもとてもありがたいものでした。

 子どもがお母さんを選んで生まれてくるということは、意志をもってこの世に来るということ。選ばれたお母さんは幸せです。その出会いに立ち会わせていただく私が幸せでないわけがないのです。

 胎内記憶は、子どもたちが実際に話してくれることです。それも、1人や2人ではなく、何百人もとなると、これは単なる作り話として片付けるわけにもいきません。

 私は、胎内記憶があることを確信して、本を書いたり、講演をしたりしてきました。映画にもとり上げてもらい、全国各地で上映されています。非科学的なことを言っていると非難された時期もありました。ところが、多くの方は興味をもってくださり、本を読んだり、講演会に参加したり、映画をみてくださいます。もう、こういうことが普通に語られる時期がきていて、私はその語り部としてのお役目があるのかもしれないと思いました。これからさらに、世界に向けて、胎内記憶のことを語っていこうと思っています。

 悩めるお母さん方も、いつまでも従来の出産や子育ての常識にとらわれずに、「胎内記憶」という視点から、自分と子どもとの関係を見ていくと、視野が驚くほど広がって、出産、子育ての不安がなくなります。いったい何を悩んでいたんだろう、などと、今までの悩みが馬鹿らしく思えてきたら、かなり人生の達人になってきている証拠です。

 出産や子育てについて悩んでいるお母さんたちに伝えたいのです。悩みを解決するカギは、意外と身近に存在していました。最高のアドバイザー、カウンセラーがすぐそばにいたのです。出産や子育ての当事者はだれでしょうか? お母さんですね。お父さんもそうかもしれない。もう1人、重要な人物を忘れていませんか? おわかりですね。お子さんです。小さい子は何もわかっていないと決めつけて、悩みを相談することはなかったと思います。でも、胎内記憶を調べていくと、何でもわかっているお子さんが、数多く存在していることがわかってきました。大人以上に、いろんなことを知っている場合もあるのです。

 それなら、子どもたちに聞けばいいよね、と単純に考えました。

 どういう出産をすれば満足?

 どういう子育てをしてもらいたい?

 彼らはきちんと答えてくれます。質問してもらえてうれしいのです。今まで、大人の勝手な考えによって、大事な当事者の意見も聞かずに、出産も子育ても進められてきました。きっと子どもも、「いやいやさせられていた」という場面が子育ての現場にはたくさんあったことでしょう。それでは、子どもの側から見て、いい出産や子育てができていないのではないでしょうか。

 先ほども言ったように、私は「胎内記憶」のことを知って、目から数え切れないほどのうろこが落ちて、妊娠・出産に立ち会えて幸せを感じるようになりました。子育ては、子どもを幸せにするもの、と思っていませんか? いいえ、子どもが幸せになるのは、お母さん、そして家族が幸せを感じて過ごしているときなのです。そのために、これから生まれ育っていく子どもたちが幸せになるために、出産や子育てに悩むお母さんたちにこそ、まず幸せになってもらいたいと思っています。

 この本では、お母さんたちのさまざまな悩みを解決する、子どものホンネを紹介していきます。神さまやたましいの話も多く出てきますが、それを信じていても信じていなくてもどちらでもいいのです。特定の宗教も関係ありません。たいわ士さん(後でくわしく説明しますが、お腹の赤ちゃんとお話しするのがとても上手な方です)や胎内記憶をもつ子どもから聞いた、本当の話です。

 どうぞ、子どもたちのメッセージに耳を傾けて、子どもと一緒にお母さんも幸せになってください。

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著者

池川 明

1954年東京生まれ。帝京大学医学部大学院修了。医学博士。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、1989年に池川クリニックを開設。胎内記憶・誕生記憶について研究を進める産婦人科医としてマスコミ等に取り上げられることが多く、講演などでも活躍中。母と子の立場に立った医療を目指している。著書に『おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと』『ママのおなかをえらんできたよ。』(以上、二見書房)『笑うお産』(KADOKAWA)など多数。

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