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よみものどっとこむ

胎内記憶でわかった こどももママも幸せになる子育て 産婦人科医 池川明

第2回

胎教にはやっぱりクラシック音楽がいいの?

2017.09.25更新

読了時間

【 この連載は… 】 人間の神秘「胎内記憶」から子育てを考える。胎内記憶研究の第一人者の医師がたどり着いた境地とは? 親の論理ではなく「子どもの本音」に耳を傾けた、子どもの「才能=生きる力」を強くする胎教法と育児法を紹介。

 今のお母さんは、本当に勉強熱心。赤ちゃんができると、赤ちゃんのためにいいことは何かないかと、たくさんの情報を集めて、一生懸命、その通りにやってあげようとします。とてもいいことです。

 でもね。今は、本もたくさん出ているし、インターネットもあるし、あまりにも情報が多すぎて、それに人によって言うことが違うものだから、どうしたらいいの? と迷って、困ってしまっているお母さんもいっぱいます。

 この本を手に取ってくれたお母さんも、そんな1人かもしれません。迷ったり、困ったりすることが何もなければ、こういう子育ての本を読もうと思わないでしょうからね。

 私の体験から言うと、今、巷に流れている情報は、必ずしも正しいと思わない方がいいでしょう。間違ったものも、的外れなものもたくさんあります。

 まず、考えていただきたいのは、どの子育て本も、すべては大人の目線から書かれたものだということです。実際に子どもに「どうしてほしい?」と聞いて書いたものはまずありません。すべてと言ってもいいでしょうが、大人の考えや都合で書かれたものです。

 だから、本やウェブサイトに書いてある通りにやっても、うまくいかないことがいっぱいあるのです。

 胎教にはクラシックがいいって、だれが言ったのでしょうか? 本にそう書いてあったのでしょうね。だれかに聞いたのかもしれません。さて、お腹の中の赤ちゃんはどう思っているのでしょう。だれも、赤ちゃんに、そのことを聞いていないはずです。

 赤ちゃんに聞けばいいのです。でも、どうやって聞くのかわからないですよね。どうやって聞けばいいのか、そんなことはだれも教えてくれませんからね。

 私もかつては、わからなかったら赤ちゃんに聞けばいいなんて、考えてもみませんでした。ところが、お母さんのお腹の中にいたときのことを、よく覚えている子どもがいることがわかって、考えが変わりました。お腹の中の記憶のことを、胎内記憶と言います。胎内記憶については、私はたくさんの本を書いていますので、興味があったら、ぜひお読みください。

 胎内記憶をもっている子どもは、1人や2人ではありません。私が調べた限り、3人に1人は、お腹の中にいたときのことを覚えています。実際には、もっと多いかもしれません。びっくりですよね。私も、子どもたちやお母さんたちにインタビューをして、あまりにも次から次へと、胎内記憶を語るお子さんが出てくるので、びっくりしたのを覚えています。

 お腹の中にいたときのことを覚えている子どもたちに聞いてみました。「クラシック音楽が好きなの?」と。

 そもそも、お腹の中にいて、音が聞こえるのだろうかという疑問があるかもしれませんが、赤ちゃんは、お母さんのお腹の皮膚の下、わずか3センチメートルのところにいますから、外の音はかなり聞こえます。子宮の中に小型のマイクをいれて、音を拾った音源があります。それを聞くと、外の人の声はくぐもっているものの、ちゃんと聞き取ることができます。

 お腹の中の赤ちゃんは、外の音を聞いていて、その音によって、細かい状況まで把握しているらしいのです。

 ある子どもが、こんなことを言いました。

 「ママ、あれおもしろかったね。むかしむかし、怖いテレビ見たじゃん。じいじとばあばと、見たじゃん。ぼくはママの中にいて、聞いていたよ」

 そう言われてお母さんは、妊娠中に実家に帰ったとき、おじいちゃん、おばあちゃんと怖いドラマを見ていたことを思い出したそうです。

 話し声もテレビの音も音楽も、お腹の中の赤ちゃんは全部、聞いていたのです。そういう子に、どんな音楽を聴かせたらいいのか。気になるところですね。

 そして、これが子どもに聞いた答えです。簡潔明瞭です。子どもたちは、こんなふうに言っています。

「ママの好きな音楽を聴いてくれるのが一番だよ」

 お腹の中にいると、お母さんの感情がダイレクトに伝わってくるようです。リラックスしているときはとても心地いいし、お父さんとけんかしてイライラしているときはとげとげしく感じて居心地が悪いみたいです。

 だから、お腹の中の赤ちゃんにとってうれしいのは、お母さんが気持ち良くしていてくれることです。バッハにもモーツアルトにもベートーベンにも興味のないお母さんが、本に書いてあったからと言って、嫌々ながらクラシック音楽を聴いているよりも、ハードなロックが好きなら、その音楽をがんがん鳴らして、気分よくいてくれた方が、お腹の中の赤ちゃんにとっては、快適なのです。

 ただ、不思議なのですが、妊娠すると、お母さんの音楽の趣味が変わる場合があります。ずっとハードな音楽が好きだったのに、急にクラシックやヒーリングミュージックを聴きたくなることがあります。それは、ひょっとしたら、お腹の赤ちゃんがリクエストしているのかもしれません。

 赤ちゃんに「これから、ちょっとハードなロックを聴くけどいい? よかったら、お腹をトントンとけってね」と、聞いている人もいます。とてもいいことだと思います。

 こういうコミュニケーションをしてもらえることが、赤ちゃんはとてもうれしいのです。私の知る限り、だいたいの子どもが、「ママが聴きたい音楽を聴けばいいよ」って言っています。

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著者

池川 明

1954年東京生まれ。帝京大学医学部大学院修了。医学博士。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、1989年に池川クリニックを開設。胎内記憶・誕生記憶について研究を進める産婦人科医としてマスコミ等に取り上げられることが多く、講演などでも活躍中。母と子の立場に立った医療を目指している。著書に『おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと』『ママのおなかをえらんできたよ。』(以上、二見書房)『笑うお産』(KADOKAWA)など多数。

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