第10回
心配や不安が出てきたら、赤ちゃんに話しかけてみて
2017.10.23更新
人間の神秘「胎内記憶」から子育てを考える。胎内記憶研究の第一人者の医師がたどり着いた境地とは? 親の論理ではなく「子どもの本音」に耳を傾けた、子どもの「才能=生きる力」を強くする胎教法と育児法を紹介。
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中には、「お腹の中がつらくて嫌だった」という子どももいます。お母さんとしては、「気持ち良くて楽しかった」と、言われたいですよね。でも、実際に、つらくて嫌な子がいるわけで、その理由を知れば、妊娠中のお母さんは、どんなふうに赤ちゃんと接すればいいか、あるいは、こんなことしちゃいけないな、ということが、わかってくるはずです。
「つらくて嫌だった」という子どもは、何が嫌だったのか? 多くの場合、どうも妊娠や出産を通して、お母さんが強い不安を感じていたことに、原因があるようです。
たとえば、たいわ士さんを通して、こんなことを伝えてくれた赤ちゃんがいました。お母さんが前に流産したことがありました。だから、そのお母さんは、妊娠してもうれしいと思う以上に、また今度も流産したらどうしようと、不安や心配が先に立ってしまいました。赤ちゃんは、お母さんの不安をすぐに感じ取りました。だから、お腹の中から、一生懸命に、絶対に生まれるから大丈夫だよ、安心してと、メッセージを送り続けたのに、まったくわかってくれません。そういうときには、自分を責める赤ちゃんもいます。
「自分の力が足りないから、お母さんにわかってもらえないんだ」
大人でも、そういうときって、居心地が悪いというか、つらい気持ちになるものです。
やっと流産しにくい時期になったら、今度は、何か障がいがあるのではとお母さんが心配し始めました。赤ちゃんは、心配しないでとメッセージを送り続けます。でも、「大丈夫だよ」とトントンとお腹をノックすると、苦しんでいるのではないだろうかと、不安が高まる始末です。さらに、出産が近づくと、きちんと生まれるだろうか、生まれたらうまく育てられるだろうかと、新たな心配が出てきました。
こんな状態ですから、お腹の中の赤ちゃんも、人間不信になってしまいました。一番気持ちを伝えたいお母さんに、まったく伝わらないからです。外へ出るなんて嫌だって思うようになりました。そこで、お母さんと赤ちゃんの間の不調和が起きるわけです。
そうすると、お腹が張ったりといったちょっとした異常が起こる。そうすると、またお母さんは心配になって、お医者さんで薬を出してもらう。お母さんが薬を飲むと、中には、赤ちゃんが苦しくなるようなこともあるわけで、余計に赤ちゃんはつらい思いをする。
こんな悪循環が起こってしまうことがあるのです。
妊娠・出産には、不安や心配は付き物です。でも、それがあまりにも大きすぎると、赤ちゃんに苦痛を与えることになります。そんなときこそ、コミュニケーションです。
お腹をなでながら、「前の赤ちゃん、流産しちゃったから、ママは、とても心配なんだ。きちんと生まれてきてね。待ってるからね」と、語りかけるだけで、お母さんと赤ちゃんの関係がどれだけ良くなるかわかりません。1人で悩まないことです。それだけで赤ちゃんの居心地もとても快適になるのです。
赤ちゃんは、お腹に宿ったときも、生まれるときも、祝福されたいのです。喜んでもらいたいのです。まわりの人に喜んでもらうために、お腹に宿り、生まれてくるのです。
まず、喜びを優先させ、喜びを赤ちゃんに伝えましょう。それでも不安が出てきたら、その不安も伝えます。その上で、赤ちゃんの気持ちをキャッチしようと思ってください。心を落ち着けて、静かに耳を傾ければ、何かを感じるはずです。それが、赤ちゃんからのメッセージです。自分が感じたことを、「こんなことを思ってくれているんだ。ありがとう」と、赤ちゃんに伝える。そして、また耳を傾けると、何かを感じる。
それを繰り返すことで、赤ちゃんの思いを感じ取れるようになるはずです。
不安や心配が出てきたら、お医者さんに駆け込むよりも、赤ちゃんとお話ししましょう。それが、一番の解決策です
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