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よみものどっとこむ

胎内記憶でわかった こどももママも幸せになる子育て 産婦人科医 池川明

第14回

お母さんを選ぶときの大切なポイント

2017.11.06更新

読了時間

【 この連載は… 】 人間の神秘「胎内記憶」から子育てを考える。胎内記憶研究の第一人者の医師がたどり着いた境地とは? 親の論理ではなく「子どもの本音」に耳を傾けた、子どもの「才能=生きる力」を強くする胎教法と育児法を紹介。

「どうして、このお母さんを選んだの?」と聞くと、さまざまな答えがあるのですが、どれも、お母さんのことが好きなんだな、と聞いていて心がほんわか温かくなってくるものばかりです。

 お母さんを選ぶ理由のナンバーワンは、「かわいい」「やさしそう」です。子どもから「かわいい」とか「やさしそう」と言われて、どういう気持ちになるでしょうか。うれしいような恥ずかしいような、といったところかもしれません。

 こんなことを言っている子どもがいます。

「ママのお腹に入るとき、本当はほかのお母さんを選ぼうと思ってたんだけど、その人が怖い顔をして怒っているのを見たからやめて、やさしそうなママに決めたんだよ!」

「やさしそう」というのが鍵になっているようですが、母性というのは、本来「やさしくて」「かわいい」ものだと思います。母性の備わった女性なら、だれもが「やさしくて、かわいい」存在だということです。現実生活の中では、日々いろいろなことがあって、イライラしたり、怒ってみたり、鬼母のようになってしまうこともありますが、どんなにイライラしようが、怒ろうが、お母さんという存在の根底には、「やさしさ」「かわいらしさ」があるはずです。

 子どもたちは、いつもお母さんのその部分を見ています。そんなところが、お母さんというのは本当に幸せだなと、男の私はいつもうらやましくてたまらないのです。お母さんは、ときにはイライラしたり怒ったりしてもいいのですが、そんなときでも、自分の根底にはやさしさやかわいさがあるんだということに、自信をもっていてください。そうすると、子どもも、自分の見立ては正しかったとうれしくなります。

 理由の2番目は、「助けてあげたい」とか「寂しそうだったから笑わせたい」というものです。健気じゃないですか。

 でも、お腹に入る前に、「どうやって助けるの?」と疑問に思うかもしれません。ああ、そういうことなんだと思う例を紹介しましょう。この話を聞くと、一日中抱きしめていても感謝し切れないほどの深い思いが子どもたちにはあるのだということがわかります。子どもたちの心の中は、お母さんを助けたい、元気づけたいという思いでいっぱいなのです。

 ゆみこちゃんという女の子ですが、彼女は生まれる前のお兄ちゃんの様子を、次のように語ってくれました。

「お兄ちゃんはね、『早く生まれたい』って、神さまに泣いて頼んでいたよ」

 なぜ、早く生まれたかったのでしょうか。この話を聞いて、お母さんには思い当たることがありました。じつは、お兄ちゃんが生まれたのは1995年です。阪神淡路大震災があった年ですね。お母さんたちは、もっとも被害の大きかった神戸に住んでいました。しかし、ちょうど地震があったときは、里帰り出産のために、お父さんも一緒に東京の実家に帰っていたのです。そのおかげで、ご本人たちは被害にあわずにすみました。神戸の家は、大型家具が倒れて、足の踏み場もなかったそうです。もし、お兄ちゃんの出産がもっと後だったらと思うと、ぞっとします。お兄ちゃんは、この地震のことを知っていて、神さまに、予定よりも早く生まれたいと頼んでいたのではないでしょうか。

「お母さんとお父さんは、子どもが生まれないと、すぐにけんかをしたり離婚する可能性があった。だから、ぼくはそれをとめなくっちゃという意味で、生まれてきた」

 と言う子もいます。お父さんとお母さんには仲良くしてもらいたいというのは、どこの子どもも同じです。お母さんのお腹の中に宿る前から、そんな気持ちでいるんですね。

 また、こんな話もありました。

 あるお母さんは、結婚前に、そのときに付き合っていた人と一緒にいたところ、「違う!この人じゃない!」という女の子の叫び声を聞いたような気がしました。その恋人と別れ、違う男性と付き合い始めたら、「そう。この人がお父さん!」と、女の子の声が話しかけてきたそうです。そして、2人はめでたく結婚することになり、しばらくすると、かわいい女の子が生まれました。ひょっとしたら、その女の子がお母さんを、一番いい結婚相手に導いたのかもしれません。不思議な話ですが、胎内記憶のたくさんの証言から考えると、そういうことも十分にあり得ることです。

 目に見えないところで、お母さんは子どもから助けられています。たまには、「ありがとうね、助けてくれて」と、お礼を言ってもばちは当たりません。

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著者

池川 明

1954年東京生まれ。帝京大学医学部大学院修了。医学博士。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、1989年に池川クリニックを開設。胎内記憶・誕生記憶について研究を進める産婦人科医としてマスコミ等に取り上げられることが多く、講演などでも活躍中。母と子の立場に立った医療を目指している。著書に『おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと』『ママのおなかをえらんできたよ。』(以上、二見書房)『笑うお産』(KADOKAWA)など多数。

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