第7回
忠臣蔵(下)
2017.11.14更新
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歌舞伎を見る前に知っておきたい基礎知識として演目の種類や独特な演出の仕方から、上演頻度の高い人気演目のあらすじと鑑賞ポイントを、マンガでじっくりと解説します。
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※3回に分けて連載します
- 作者
- 竹田出雲(たけだいずも)、三好松洛(みよししょうらく)、並木千柳(なみきせんりゅう)による合作
- 初演
- 人形浄瑠璃で一七四八(寛延元年)八月、大坂・竹本座。歌舞伎では同年十二月、大坂・嵐座。翌年に江戸三座でも上演される。
- 概要
- 義太夫狂言三大名作の一つ。
南北朝時代が舞台の時代物。全十一段だが、二段目・十段目は通し上演でもほとんど上演されない。
![ここは祇園の一力茶屋。大星由良之助(おおぼしゆらのすけは)敵を欺(あざむ)くため遊興にふけっていた 一力茶屋は遊女になったおかるがいるところだにゃん 由良之助が密書を読んでいると、二階からは遊女となったおかる、床下からは師直側に寝返った斧九太夫(おのくだゆう)が盗み見ていた 三人の姿が絵画的に整っている演出はみごとだ! 緊張感もあってドキドキするにゃ… おかるに密書を読まれたと察した由良之助は、おかるに身請け話を持ちかける 話したいことがある おかるから密書の内容と身請け話を聞いた兄平右衛門(へいえもん)は由良之助がおかるを殺す気だと気づく。そして、仇討ちに参加するため兄の手にかかって死んでくれと頼む おかるが命を差し出そうとすると、兄妹の心を知って由良之助が止める。そして、平右衛門に仇討ち参加を許し、おかるには九太夫を刺殺させ、勘平の代わりに功を立てさせる 早まるな。兄妹ともに心底見えた](https://43mono.com/wp/wp-content/uploads/2017/10/kabuki7_il01.png)
七段目の由良之助は難しい役
敵の目を欺(あざむ)くため、遊びほうける由良之助。とはいえ、だらしなく遊ぶのではなく、祇園の一流店で遊ぶ人らしい色気、仇討ちを遂げようとする内に秘めた信念、人を束ねる風格を表現しなければならない難しい役。それぞれの役者がどう演じるのかも、見どころだ。
密書を三人同時に読むシーン、通称「釣燈籠つりどうろう」
釣燈籠は軒先などにつるす灯篭(とうろう)のこと。三人の構図が美しい絵のようで見応えがある。
後悔のないおかるの生きざま
母・おかやのセリフに「そなたは小さいときから在所を歩くことさえ嫌いで…」とあるように、おかるは生まれ育った田舎が大嫌いな少女だった。そして、今でいう都心の一流企業に就職。社内恋愛は禁止なのに社内の年上男性と恋をする。その後、腰元、女房から遊女と環境が大きく変化。それでもさらりと適応できるのは、やりたいことを自分の意志でやっているからなのかもしれない。
![八段目 ここは東海道。加古川本蔵(かこがわほんぞう)の娘小浪(こなみ)と継母戸無瀬(となせ)は、京都山科の由良之助宅へ向かっていた 小浪は由良之助の息子力弥(りきや)の婚約者だけど、本蔵のせいで師直を斬れなかったから恨まれて疎遠になったにゃん 恋しくて来ちゃったのか…けなげだにゃ~ 嫁入りしたいとやって来た小浪と戸無瀬に、由良之助の妻お石(いし)は引き出物に本蔵の首をもらえれば嫁入りを許すと言う 本蔵どののお首、載せてもらいたい](https://43mono.com/wp/wp-content/uploads/2017/10/kabuki7_il02.png)
立女方と若女方の競演
八段目は『道行旅路(みちゆきたびじ) の嫁入(よめいり)』。本蔵の妻・戸無瀬と義理の娘・小浪という母子の道行で、立女方が演じる戸無瀬と若女方が演じる小浪の競演が見どころ。
![そこへ虚無僧の姿をした本蔵。本蔵はお石を踏みつけ由良之助をののしり始める 主人の仇をという所存もなく遊興にふけり…日本一のあほうの鑑(かがみ)… と、力弥が飛び出し、本蔵を槍で突いた 由良之助が現れ、本蔵がわざと刺されたと見抜く。そして、仇討ち遂げ死ぬ覚悟だと明かす 力弥が手にかかり、さぞご本望でござろう それを聞いた本蔵は師直邸の絵図面を由良之助に渡す。由良之助は小浪の嫁入りを許して旅立ち、本蔵も戸無瀬と
小浪にみとられて、あの世へと旅立った 十一段目 十二月十四日、雪の夜。由良之助たちは、ついに高師直邸に討ち入る 恨みも積もる白雪の~ 立ち回りも見ごたえあるにゃー 由良之助が判官の形見の短刀で、師直の首を取った。浪士たちは勝どきをあげ、塩冶判官の眠る泉岳寺へと向かった… えいえいおっー! えいえいおっー!](https://43mono.com/wp/wp-content/uploads/2017/10/kabuki7_il03.png)