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家族のためのユマニチュード その人らしさを取り戻す、優しい認知症ケア イヴ・ジネスト ロゼット・マレスコッティ 本田美和子

第2回

【認知症介護の本】ユマニチュードとは

2018.08.23更新

読了時間

ユマニチュードは、フランスで生まれ、その効果の高さから「まるで魔法」と称される介護技法です。ユマニチュードの哲学では、ケアをするときに「人とは何だろう」と考え続けます。人は、そこに一緒にいる誰かに『あなたは人間ですよ』と認められることによって、人として存在することができるのです。「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱を軸にした「技術」で、相手を尊重したケアを実現します。この連載では、ユマニチュードの考え方と具体的な実践方法を紹介します。
「目次」はこちら

介護で大切な2つのこと

 介護で最も大切なのは、「相手とよい関係を結ぶ」ことと「その人が持っている力を奪わない」ことです。

 

相手とよい関係を結ぶために

 私たちは自由にいろいろなことができます。誰もが平等な権利を持っています。友人や家族と親しい関係を結んで生きています。この「自由」「平等」「同胞の精神」は世界人権宣言で謳われています。
『すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神を持って行動しなければならない。』(世界人権宣言第一条)
 介護をする人も、介護を受ける人も、ともに自由で、平等であり、同胞の精神を持つ存在であると考えれば、そこには互いを尊重する気持ちが生まれ、両者の間にはよい関係が結ばれます。言い換えれば、介護を通じて相手とよい関係を結ぶことが、介護をするにあたって最も重要なことなのです。
 しかし、「よい関係を結びたい」「優しく介護をしたい」「あなたのことを大切に思っています」と心で思っているだけでは相手に受け取ってもらうことはできません。大切なのは、そう思っていることを相手が理解できる形で表現し、受け取ってもらうことです。優しさを届けるための技術が必要なのです。

その人が持つ力を奪わない

 介護をするときには、ともすれば「何でもして差し上げる」のがよい介護であると考えがちですが、実はそれが「その人が本来できることを代わりにやってしまうことで、その人の持つ能力を奪ってしまっている」可能性があります。
 たとえば、体を拭くことを考えてみます。体を拭くときは、多くの場合ベッドに寝たままで行われますが、もし40秒以上立てれば、ベッドの柵につかまり立ちしてもらいながら体を拭きます。そして、立っていることに疲れたら座る。このように立ったり、座ったりすることを組み合わせて体を拭けば、立つ能力を保つことができ、寝たきりになることを防げます。
 寝たまま体を拭き続けていると、立つ力は失われていきます。その人の「立つ能力」を、介護をする人が奪ってしまうことになるのです。その人が持つ能力を奪わないことが、ユマニチュードの介護で2つ目に大切なことです。

◆40秒立てれば、立つことを取り入れたケアができる

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  • みんなの感想

    パパは認知症

    具体的な方法、ポイントが優しいイラストで説明されていて勉強になります。看護師として働いておりますが、清潔ケアをする時に、近くで目を合わせることが無かったなと振り返りました。無料WEB公開してくださって本当にありがとうございます!これから一緒に親の介護をする兄弟にも見せたいと思います。

    返信
著者

イヴ・ジネスト/ ロゼット・マレスコッティ/本田美和子

【イヴ・ジネスト】ジネスト‐マレスコッティ研究所長。トゥールーズ大学卒業。体育学の教師で、1979年にフランス国民教育・高等教育・研究省から病院職員教育担当者として派遣され、病院職員の腰痛対策に取り組んだことを契機に、看護・介護の分野に関わることとなった。【ロゼット・マレスコッティ】ジネスト‐マレスコッティ研究所副所長。SASユマニチュード代表。リモージュ大学卒業。体育学の教師で、1979年にフランス国民教育・高等教育・研究省から病院職員教育担当者として派遣され、病院職員の腰痛対策に取り組んだことを契機に、看護・介護の分野に関わることとなった。【本田美和子(ほんだ・みわこ)】国立病院機構東京医療センター総合内科医長/医療経営情報・高齢者ケア研究室長。1993年筑波大学医学専門学群卒業。内科医。国立東京第二病院にて初期研修後、亀田総合病院等を経て米国トマス・ジェファソン大学内科、コーネル大学老年医学科でトレーニングを受ける。その後、国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センターを経て2011年より現職。

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