Facebook
Twitter
RSS

よみものどっとこむ

スポンサーリンク

第33回

見落とされがちなきょうだい問題

2018.02.23更新

読了時間

【 この連載は… 】すぐにびっくりする。興奮したあとはなかなか寝つけない。服がぬれたり、砂がついたりすると、着替えたがる……5人に1人といわれる敏感気質(HSP/HSC)のさまざまな特徴や傾向を解説。「敏感である」を才能として活かす方法を紹介します。

見落とされがちなきょうだい問題

 どこのきょうだいにも、母親の愛情を求めてのせめぎ合いというのがあるものです。親が「どの子もかわいい」「どの子も大切」という姿勢だとあまりトラブルになりにくいのですが、母親からかけられる愛情に大きな偏りがあると、それは子どもの心に影響を与えます。

 たとえば、わりと問題が起こりやすいのが、きょうだいの中に、障がいのある子がいる場合です。重い障がいのある子がいると、親の意識はどうしても障がいのある子のほうに集中してしまいます。他の子が、軽い発達の凹凸があったり、HSCだったりしても、そこまで目が行き届かずに放っておかれてしまうといったことがあります。十分な愛情や適切なケアがなされないわけです。そうすると、その子はストレスを高めます。

 あるいは、障がいの重い子に対して、他のきょうだいが一生懸命、面倒を見る。優しくていい子です。しかし、本当はその子だって愛情を注いでほしいという感情が心の奥底にあります。心の中では、いろいろなことを我慢しているのです。優しい子ほど、「自分はわがままを言ってはいけない」と自分を抑えつけようとする。そしてストレスが溜まってしまう。結果、面倒を見ていた優しい子が、本当のことを言えず、誰にも弱味を見せられなくなってしまうケースもあります。

 HSCの場合でもそうで、感じやすい心を持っているだけに、さまざまな葛藤が生じやすくなります。

 一般に、きょうだい同士では、年齢の上下に関係なく、鈍感なほうが敏感な子に強くあたるパターンが多いです。そうすると、お母さんは敏感なほうにつく。敏感でない子が荒れる。お母さんのいないところで、いっそうきつくあたるというようなことがけっこうあります。

 しかし、こんな例もあります。ある男性は、小さいときから本当に敏感すぎて、怖がりで、親に手を焼かせてしまう子だったといいます。母親は次第に愛想を尽かし、だんだん彼をうとんじるようになって、弟ばかりをかわいがるようになり、強い孤独と人間不信に陥ったと語ります。そういうケースもあるのです。

 子どもの心の問題を診るとき、普通はその子だけを診ます。でも、実際は親も一緒に診ないとわからないのです。そのときに、親とその子の問題だけを診ていてはダメで、きょうだい間の関係がどうか、母親の愛情をめぐってどういう力関係が生じているか、といったことも診なくてはなりません。そういうところが意外と見落とされがちです。

>この連載のまとめを見る

  1. 1
  2. 32
  3. 33
  4. 34
  5. 38

【単行本好評発売中!】

この本を購入する

スポンサーリンク

シェア

Share

感想を書く感想を書く

※コメントは承認制となっておりますので、反映されるまでに時間がかかります。

著者

長沼 睦雄

十勝むつみのクリニック院長。日本では数少ないHSPの臨床医。昭和31年山梨県生まれ。北海道大学医学部卒業。脳外科研修を経て神経内科を専攻し、日本神経学会認定医の資格を取得。北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了後、障害児医療分野に転向。道立札幌療育センターにて小児精神科医として14年間勤務。平成12年よりHSPに注目し研究。平成20年より道立緑ヶ丘病院精神科に勤務し、小児と成人の診療を行う。平成28年十勝むつみのクリニック開業。発達障害、発達性トラウマ、解離性障害などの診断治療に専念し、脳と心と体の統合的医療を行っている。著書に『活かそう!発達障害脳 「いいところを伸ばす」は治療です。』(花風社)、『敏感すぎる自分を好きになれる本』『気にしすぎ人間へ クヨクヨすることが成長のもとになる』(ともに青春出版社)、『コミックエッセイ 敏感過ぎる自分に困っています』(宝島社)などがある。

矢印