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子どもの敏感さに困ったら 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方 長沼睦雄

第37回

【HSCの本】思春期に起こりやすい恋愛トラブル

2018.03.23更新

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5人に1人といわれる敏感気質(HSP/HSC)のさまざまな特徴や傾向を解説。「敏感である」を才能として活かす方法を紹介します。
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思春期に起こりやすい恋愛トラブル

 敏感で繊細な子にも多いアダルトチルドレンというのは、自己主張できない性質です。

 「自分なんか」という認知のゆがみもある。だから、その自己否定が強くなると、自分を痛めつけてくる相手になぜか引き寄せられていき、その結果、疲れて、潰れてしまうようなことがしばしばあります。

 アダルトチルドレンは、「対等に」というのが苦手なようです。自信がない、個性がない、自己主張がないですから、対等な関係が結べないのです。

 それは恋愛に限らず、友人関係でもいえます。個性が弱いから、どうしてもやられてしまう。頼られたり、いじめられたり、利用されたり、相談にくる人の多くがそうです。

 敏感同士が出会って、お互い、理解し合って付き合うなかで、相手の苦しさも拾ってしまうのです。

 うまくいく相手を探すには、自分に自信を持つことが必要です。

 自分を責めてしまう傾向があると、どうしても相手からも責められる。そして、苦しいから吐き出してしまう。そうならないようにするために、自分を認めて、自分を許していく。まずは、自分を認めて、自己主張できるぐらいの自我の強さというか、自分らしさを身につけることが大事です。

 また、外に出ていく、というのも重要です。

 傷つけられて、自分が自分でなくなるという人にたくさん出会ってきました。相手に愛されたいがゆえに貢みついでしまう女の子なんかも多い。自分というものがないからなのです。

 地元にいたときには色眼鏡で見られがちで生きづらかったけれど、別の土地でいろいろな人たちに出会って、そこで元気になるということもあります。

「地元では変人みたいに思われていたけれど、東京でアニメーションを学ぶ学校に行ったら、ちっとも変人ではなかった、みんな自分と同類項だった」と言っていた子がいます。

 自分に合う場所というのが、必ずどこかにある。イキイキできる、水が合う場所が必ずあります。

 地域の狭いところでは理解してくれる人に出会いにくいですが、外の世界に飛び出してみると、いい人に出会うこともあるかもしれません。怖れてばかりいないで、行動範囲を広げてみなさいという勧めです。

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著者

長沼 睦雄

十勝むつみのクリニック院長。1956年山梨県甲府市生まれ。北海道大学医学部卒業後、脳外科研修を経て神経内科を専攻し、日本神経学会認定医の資格を取得。北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了後、障害児医療分野に転向。北海道立札幌療育センターにて14年間児童精神科医として勤務。平成20年より北海道立緑ヶ丘病院精神科に転勤し児童と大人の診療を行ったのち、平成28年に十勝むつみのクリニックを帯広にて開院。HSC/HSP、神経発達症、発達性トラウマ、アダルトチルドレン、慢性疲労症候群などの診断治療に専念し「脳と心と体と食と魂」「見えるものと見えないもの」のつながりを考慮した総合医療を目指している。

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