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子どもの敏感さに困ったら 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方 長沼睦雄

第38回

【HSCの本】超感覚── 異常ではなく超敏感だから感じとれてしまう

2018.03.30更新

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5人に1人といわれる敏感気質(HSP/HSC)のさまざまな特徴や傾向を解説。「敏感である」を才能として活かす方法を紹介します。
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超感覚── 異常ではなく超敏感だから感じとれてしまう

 記憶というのは、感覚を伴うと鮮明に残っていくものです。

 HSCは小さいときのことをよく覚えている人が多いです。感覚が深いので、記憶も鮮明なのでしょう。生まれるとき、生まれたあと、小さいときのことを、ずっと覚えている、そんな記憶を持つ人もいます。

 私は、感覚には「超五感」があると考えています。聴覚に対して「超聴覚」というのがある。普通の人が聞こえないものも聞こえる人がいます。「超視覚」があって、一般には見えないものが見える人もいます。味覚も、嗅覚も、触覚もそうで人一倍感覚が研ぎ澄まされている五感を超えた感覚というものがあります。

「幻聴」とか、「幻視」といわれてしまったりするものが、超聴覚だったり、超視覚だったりするわけです。異常なのではなく、感覚が鋭いだけなのです。

 敏感な人たちは、そのような感覚を持っていることが少なくありません。

 あまりこういうことを言うと、「医者のくせに非科学的だ」と𠮟られてしまいます。けれども、科学で説明できることなんて、まだまだ少ないのです。説明のつかないことが世の中にはたくさんあります。そういう「事実」を私は受け入れたいと思っているわけです。

 超感覚には他にも、マインズ・アイ、共感覚(シネステジア)、サヴァン症候群などがあります。これらの能力については第5章でまた触れますが、ここでは簡単にご紹介しておきましょう。

 マインズ・アイとは、イメージしたものを視覚化でき、さらにそれを多角視できること。思い浮かべるだけそのイメージが実体として見え、そのモノの裏側を、視点をずらして反対側から眺めることもできます。その心の目はどこにでも飛んでいけます。

 共感覚とは、刺激や情報に対して、それらに対応した感覚だけでなく、別の異なる種類の感覚をも同時に生じさせる知覚現象のことで、たとえば、文字や数字に色を感じたり、音楽や音に色を感じたりします。

 また、サヴァン症候群とは、知的障害や発達障害などのある人が、ごく限られた分野で超人的能力を発揮する状態のことです。たとえば、カレンダーを見ずに年月日の曜日をランダムに言い当てたり、一瞬見たものを細部まで記憶してそれを絵に再現できたり、一度読んだ本をすべて暗記したりします。

 すべてではありませんが、HSCの中にはこういった力を持っている子もいるのです。

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著者

長沼 睦雄

十勝むつみのクリニック院長。1956年山梨県甲府市生まれ。北海道大学医学部卒業後、脳外科研修を経て神経内科を専攻し、日本神経学会認定医の資格を取得。北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了後、障害児医療分野に転向。北海道立札幌療育センターにて14年間児童精神科医として勤務。平成20年より北海道立緑ヶ丘病院精神科に転勤し児童と大人の診療を行ったのち、平成28年に十勝むつみのクリニックを帯広にて開院。HSC/HSP、神経発達症、発達性トラウマ、アダルトチルドレン、慢性疲労症候群などの診断治療に専念し「脳と心と体と食と魂」「見えるものと見えないもの」のつながりを考慮した総合医療を目指している。

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