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よみものどっとこむ

第194回

489話~491話

2017.05.08更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

489 司法にも心がなくてはいけない


【現代語訳】

魯の大夫・孟氏が曾子の門人陽膚(ようふ)を士師(司法長官)に任用した。陽膚は士師としての心がけを曾子にたずねた。曾子は言った。「今や上(かみ)たる政府が政治のよろしきを失い、一般の民が生活難に陥り、道義も頽廃(たいはい)して久しいものがある。犯罪が起こるのも、政治の責任に一半(いっぱん)があるのだ。だからたとえ被疑者が事実を認めて『恐れ入りました』と白状したときも、哀(あわ)れみの情を持たなくてはならない。ゆめゆめ自分の手柄だと喜んではいけない」。


【読み下し文】

孟子(もうし)、陽膚(ようふ)をして士師(しし)たらしむ。曾子(そうし)に問(と)う。曾子(そうし)曰(いわ)く、上(かみ)、其(そ)の道(みち)を失(うしな)い、民(たみ)散(さん)(※)ずること久(ひさ)し。如(も)し其(そ)の情(じょう)を得(え)んとせば、則(すなわ)ち哀矜(あいきょう)(※)して喜(この)むこと勿(な)かれ。


(※)散……民心が離散する。人民の暮らしが困窮し、道義も退廃する。

(※)哀矜……悲しみ。哀れみ。


【原文】

孟氏使陽膚爲士師、問於曾子、曾子曰、上失其衜、民散久矣、如得其情、則哀矜而勿喜、


490 君子は悪い評判のある所に身を置いてはならない


【現代語訳】

子貢(しこう)は言った。「殷(いん)の紂王(ちゅうおう)は、悪逆非道の暴君として有名だが、いわれていること全部が本当のこととは思えない。ただ、多くの非道の行状があったために、すべての悪が、紂王のせいにされたのである。だから君子は下流の地というか、悪い評判のある所には、身を置いてはならないことを知るべきである。そういう所に身を置くと、天下の悪名がすべて身に集まることになる」。


【読み下し文】

子貢(しこう)曰(いわ)く、紂(ちゅう)(※)の不善(ふぜん)は、是(かく)の如(ごと)く之(こ)れ甚(はなはだ)しきにあらざるなり。是(これ)を以(もっ)て君子(くんし)は下流(かりゅう)(※)に居(お)ることを悪(にく)む。天下(てんか)の悪(あく)皆(みな)帰(き)すればなり。


(※)紂……殷の第三十代の王で、周の武王に討たれ、殷を滅亡させた。暴虐な王としても有名。

(※)下流……地が低くて水が汚れたものを含んで流れ集まるところ。人の身に汚名があったり、貧しくなると集ってできる貧民窟を下流にたとえた。


【原文】

子貢曰、紂之不善、不如是之甚也、是以君子惡居下流、天下之惡皆歸焉、


491 君子は過ちがあっても隠し立てしない


【現代語訳】

子貢は言った。「君子(くんし)の過(あやま)ちというのは、日食や月食のようなものである。隠し立てしないので、過ちがあれば誰が見てもそれがわかるし、改めると誰もがさすがは君子だと仰ぎ見る」。


【読み下し文】

子貢(しこう)曰(いわ)く、君子(くんし)の過(あやま)ちや、日月(じつげつ)の食(しょく)の如(ごと)し。過(あやま)てば人(ひと)皆(みな)之(これ)を見(み)る。更(あらた)むれば人(ひと)皆(みな)之(これ)を仰(あお)ぐ。


【原文】

子貢曰、君子之過也、如日月之食焉、過也人皆見之、更也人皆仰之、



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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