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よみものどっとこむ

第195回

492話~493話

2017.05.09更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

492 どこにいても学ぶことはできる


【現代語訳】

衛の公孫朝(こうそんちょう)が子貢にたずねた。「仲尼(ちゅうじ)(孔子先生)は、誰に就いて学んだのですか」。

子貢は答えた。「周の文王、武王の道は衰えたとはいえ、まだ滅んでおらず、人に残っています。賢者は大きな道を知っており、賢者でなくても小さな道は知っています。文武の道は、天下の至るところにあります。ですから先生は、どこに行っても学ばないということはありませんでした。そういうわけですから、特定の決まった師も持たれなかったのです」。


【読み下し文】

衛(えい)の公孫朝(こうそんちょう)(※)、子貢(しこう)に問(と)うて曰(いわ)く、仲尼(ちゅうじ)(※)は焉(いずく)にか学(まな)べる(※)。子貢(しこう)曰(いわ)く、文武(ぶんぶ)の道(みち)(※)、未(いま)だ地(ち)に墜(お)ちず、人(ひと)に在(あ)り。賢者(けんじゃ)は其(そ)の大(だい)なる者(もの)を識(し)り、不賢者(ふけんじゃ)は其(そ)の小(しょう)なる者(もの)を識(し)る。文武(ぶんぶ)の道(みち)有(あ)らざること莫(な)し。夫子(ふうし)焉(いず)くにか学(まな)ばざるあらん。而(しこう)して亦(ま)た何(なん)の常師(じょうし)(※)か之(こ)れ有(あ)らん。


(※)公孫朝……衛の大夫。詳しいことはわかっていない。

(※)仲尼……孔子の字。

(※)焉にか学べる……どこの誰について学んだのか。

(※)文武の道……周の文王や武王が説き、かつ行った道。

(※)常師……決まった先生。就いて学んだ師。


【原文】

衞公孫朝問於子貢曰、仲尼焉學、子貢曰、文武之衜、未墜於地、在人、賢者識其大者、不賢者識其小者、莫不有文武之衜焉、夫子焉不學、而亦何常師之有、


493 師の孔子のレベルの高さを表現する


【現代語訳】

魯の大夫の叔孫武叔(しゅくそんぶしゅく)が、大夫仲間と朝廷で語り合っているときに言った。「子貢は師の仲尼(孔子先生)よりも優れている」。これを子服景伯(しふくけいはく)が子貢に教えた。

すると子貢は言った。「とんでもないことです。先生と私とでは桁(けた)が違います。家をとりまく塀へいでたとえると、私の場合はやっと肩に届くくらいですから、塀越しに内部が見えて、一見よさそうには見えます。ところが先生の塀は、高さ数丈(一丈は約三メートル)です。その入り口の門を探しあてて、中に入らないと、祖先の霊廟(みたまや)の美しさや、百官の人たちが盛んに働いている光景を見ることができません。とはいえ、実際にその門を見つけて、門の中に入れる人は少ししかいませんので、叔孫武叔がそのようにいわれるのも、無理はありません」。


【読み下し文】

叔孫武叔(しゅくそんぶしゅく)(※)、大夫(たいふ)に朝(ちょう)に語(かた)りて曰(いわ)く、子貢(しこう)は仲尼(ちゅうじ)より賢(けん)なり。子服景伯(しふくけいはく)以(もっ)て子貢(しこう)に告(つ)ぐ。子貢(しこう)曰(いわ)く、之(これ)を宮牆(きゅうしょう)(※)に譬(たと)うれば、賜(し)の牆(しょう)や肩(かた)に及(およ)ぶ。室家(しつか)(※)の好(よ)きを闚(うかが)い見(み)る。夫子(ふうし)の牆(しょう)は数仞(すうじん)(※)なり。其(そ)の門(もん)を得(え)て入(い)るにあらざれば、宗廟(そうびょう)(※)の美(び)、百官(ひゃくかん)(※)の富(とみ)を見(み)ず。其(そ)の門(もん)を得(う)る者(もの)、或(ある)いは寡(すくな)し。夫子(ふうし)の云(い)える、亦(ま)た宜(うべ)ならずや。


(※)叔孫武叔……魯の大夫。名は州仇。武叔はその諡。叔孫氏の第八代。

(※)宮牆……土塀。垣根。

(※)室家……小住宅のこぎれいさ。

(※)仞……当時の七尺、または八尺とされる。

(※)宗廟……祖先の霊をまつった御殿。

(※)百官……宗廟で働く諸役人。


【原文】

叔孫武叔語大夫於朝曰、子貢賢於仲尼、子服景伯以吿子貢、子貢曰、譬諸宮牆、賜之牆也及肩、闚見室家之好、夫子之牆也數仞、不得其門而入、不見宗廟之美百官之富、得其門者或寡矣、夫子之云、不亦宜乎、



*492話と493話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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