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自社ホームページにアクセスした企業を「見える化」して、10件の電話営業だけで売上をアップさせる技術 熊谷 竜二

第3回

1-1 簡単な3ステップ営業法(下)

2018.06.20更新

読了時間

中小企業の約50%の企業が経営の重要課題に「営業に関する課題」をあげています。人材売り手市場の昨今、小さな会社にとっては営業人材を新たに採用することが難しい状況です。そこで、コストをかけずに、営業効果を上げる方法を実践している「営業支援コンサルタント」が教える、魔法の営業述を解説していきます。
「目次」はこちら

3ステップ営業法とは

 この営業手法の目的は、低コストで良質な商談を短期間で獲得することです。
 アメリカの現代マーケティングの第一人者であるフィリップ・コトラーは、「企業マーケティングの目的は、営業マンが彼らの高価な時間を最も効率よく使えるように、精度の高い商談を与えることである」
 と言っています。

 先述した通り、新規顧客開拓の営業は、大半がムダ打ちに終わる効率の悪い業務です。
 その中でも最もコストが掛かるのは人件費です。
 企業は人件費の高い営業マンを有効に活用するため、いかにしてムダ打ちの業務を減らし、大切な商談業務に振り向けることが出来るかが、企業の良質な利益体質を作る上で大切になるわけです。

 今からご紹介する営業手法は、大きな市場を効率よくフルイに掛けて、ニーズのある潜在顧客だけに絞り込むことが可能になります。

 多額のコストを掛けることなく精度の高い見込顧客を獲得出来るようになるのです。この営業で実施することは、たった3つのステップだけです

ステップ(1) メールを送信する
ステップ(2) アクセスログを取得する
ステップ(3) 電話営業をする

3ステップ営業法の流れ

 それでは、3ステップ営業法の実際の流れを見ていきましょう。

ステップ(1) メールを送信する

 あなたの会社およびあなたの商品を知らないターゲットに“商品を知ってもらう"ため、あなたの会社がターゲットとする企業群に電子メールのDMを一斉に送ります。

 送信するメールDMで商品の概略を伝え、潜在顧客の興味関心を引きましょう。加えて商品の詳しい情報が掲載されたホームページのURL を記載し、あなたの会社のホームページを見てくれるよう誘導します。これによりホームページのアクセス数は以前より増えるはずです。

 ここでのポイントは、ホームページにアクセスした人は、メールDMの内容に興味を持ち、より詳しい情報が知りたいと思った人だけということです。

ステップ(2) アクセスログを取得する

 ホームページにアクセスしてくれた企業のアクセスログを取得し、ニーズを持った潜在顧客を見える化します。

 ホームページにアクセスしてくれた企業が、何故わかるのか?
 その秘密は、先に送信したメールDMの本文に記載した自社ホームページのURL にあります。
 ホームページのURL に送信先の企業ごとに異なる“個別ID"を埋め込んでおくのです。

【例】
http:// あなたのHP.co.jp/?kcid= 個別ID
個別ID:001 → A コンサルティング株式会社
個別ID:002 → B 商事株式会社

 この個別IDが含まれたURLがメール上でクリックされ、ホームページにアクセスされると、後にご紹介しますアクセスログ管理システム(Google アナリティクス)でアクセスログが取得出来、どの企業がホームページにアクセスしたのかがわかります。
 これがホームページを見た企業がわかる理由です。

 この仕組みは「メールDMの送信と組み合わせる」ことによって、ホームページを見た潜在顧客がわかるのです。
 そして、ホームページのアクセスも同時に増やすことが出来るでしょう。そのため現時点であなたの会社のホームページにアクセスがほとんど無くても問題ないわけです。

 以上の手順なら、自社の商品にニーズを持った潜在顧客を獲得することが出来るはずです。

ステップ(3) 電話営業をする

 次に、ホームページを見てくれた潜在顧客に優先して電話営業を実施し、商談のアポイントを取っていきます。

 この電話によるアプローチは、ニーズがある可能性の高い顧客だけに集中して実施するため、極めて高い確率でアポイントの獲得に繋がります。
 企業リストに片っ端から電話を掛ける営業と比較すると、電話を掛ける件数が圧倒的に少なくて済み、ムダ打ちを大きく減らすことが可能になります。

 ここでのポイントは最もコストが掛かる電話営業(人件費)が抑えられ、費用対効果が高まるという点です。

 このように3ステップ営業法は、市場に存在する沢山の企業の中からあなたの会社の商品にニーズのある顧客を段階的に絞り込んでいくことで、コストの掛かる電話営業を最小限に止めることが出来る営業方法です。

 図1-1のように、一番上の「市場」を大きなフルイに掛けて、順番に小さいフルイに掛けていくことで、よりニーズの高い顧客へと絞り込んでいくイメージです。

 絞り込む過程で、顧客のニーズや営業状況に応じて、顧客の呼び方が、

 潜在顧客→見込顧客→既存(成約)顧客

 と変わっていきます。

 3章以降で詳しくご紹介していく3ステップ営業法は、まさにあなたの会社の営業活動によって、大きな顧客層をフルイに掛けてニーズの高い顧客を絞り込んでいくことです。

顧客とは

 一般的な「顧客」という言葉だと範囲が広くなってしまうので、本書では以下のようにニーズの高さに応じて顧客を分けて捉えています。

市場 買い手および今後買い手になる可能性のある個人消費者や法人の集まり
ターゲット 自社が成約に繋げたいと設定した顧客群業種や地域などの特定の属性でまとめられた顧客群。標的市場
潜在顧客 売手との直接的な接点はないが購入の可能性、潜在的なニーズがあると思われる個人消費者や法人
※本書では特にホームページにアクセスした顧客を、潜在顧客と定義しています。
見込顧客 購入には至っていないが、既に売手との接点を持ち、購入の可能性(ニーズ)が顕在化している個人消費者や法人
既存(成約)顧客 既に売手から商品(モノ・サービス)を購入した実績のある個人消費者や法人

「目次」はこちら

この本の構成

はじめに
第1章 営業がヤルことは3つだけ
第2章 事前準備
第3章 メール
第4章 アクセスログの取得
第5章 電話営業
第6章 改善
おわりに

【単行本好評発売中!】

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著者

熊谷竜二

1968 年千葉県出身。営業支援コンサルタント。株式会社ナレッジコンサルティング代表取締役。 1992 年キヤノンマーケティングジャパン株式会社(東証一部上場)に就職後、企画力と実行力が評価され20 代で開発リーダーに就任。全社的な業務システムを次々に立ち上げる。それらの先進的なシステムは日経コンピュータなど多くの雑誌に取り上げられ、その技術について全国を講演。30 代で「IT 技術を使った営業支援コンサルタント」に抜擢され全国のキヤノン販売店(中小企業)の営業コンサルティングに従事。その経験を武器に40 歳になった2009 年に18 年務めたキヤノンを退社し起業。時はリーマンショックの数カ月後という大不況。妻と中学1 年生を筆頭に3 人の息子を抱え1 年半まったく売上が立たない生活に陥る。退職金の貯金が底をつき、とてつもない恐怖と絶望を味わう。そんな苦労の中、自身の営業を改善するために「自分のサービスに興味を持っている人(企業)が事前にわからないだろうか」というシンプルな発想から「ホームページを見た企業がわかる、つまり自社のサービスに興味を持っている企業がわかる」営業支援システム(特許出願済)を発案。この仕組みを使い自社営業を実施したところ、売上が上昇。このシステムを自分と同じ営業に苦労している人のために、電話営業の代行をセットにした「営業丸ごとパック」を発売すると爆発的に売れ会社の売上は安定し、生活は改善。新規顧客の獲得に特化し他社にない唯一無二のそのサービスは、商談獲得率が通常1 〜 2%といわれる中、平均16.5%(成果数/架電企業数)を記録。その営業支援システムは先進的な考え方と成果の高さから、大手から中小ベンチャー企業まで、累計1000 社以上の企業で活用され、高く評価されている。

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