第175回
451話~452話
2017.04.06更新
【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。
451 よくないものに染まらないようにしてほしい
【現代語訳】
孔子先生は言われた。「間色である紫が、正色である朱(赤)を圧倒してしまうように、正が邪に負かされることを私は憎む。俗悪な鄭の国の音楽が、正当な雅楽を乱してしまうのも憎い。口のうまい者が、国を転覆させようとするのも憎い」。
【読み下し文】
子(し)曰(いわ)く、紫(むらさき)(※)の朱(しゅ)(※)を奪(うば)うを悪(にく)む。鄭声(ていせい)の雅楽(ががく)を乱(みだ)すを悪(にく)む。利口(りこう)(※)の邦家(ほうか)を覆(くつがえ)す者(もの)を悪(にく)む。
(※)紫……間色を混ぜ合わせてつくる濃艶な色。桓公がこの色を好み、春秋時代末に人々の間で流行したという。孔子は正色である朱を正と見立て、間色である紫を邪と見立て、邪が正に勝つのを苦々しく思って、紫の流行を批判したのである。
(※)朱……赤。正色の一つ。青、赤、黄、白、黒を正色という。孔子は正が邪に勝つことを願って、正色を好み間色を嫌った。
(※)利口……口がうまく邪を正、黒を白と言いなす者。
【原文】
子曰、惡紫之奪朱也、惡鄭聲之亂雅樂也、惡利口之覆邦家者、
452 言葉だけでなく行為の中にも教えをみてほしい
【現代語訳】
孔子先生は言われた。「私は言うことをやめようと思う」。
それを聞いて子貢は言った。「先生が何もおっしゃらないなら、私たち弟子は何を述べ伝えていけばよいのでしょうか」。
先生は言われた。「天は何か物を言うだろうか、何も言わないのに四季はめぐり、万物も成長している。天は何か物を言うだろうか」。
【読み下し文】
子(し)曰(いわ)く、予(われ)は言(い)うこと無(な)からんと欲(ほっ)す。子貢(しこう)曰(いわ)く、子(し)如(も)し言(い)わずんば、則(すなわ)ち小子(しょうし)何(なに)をか述(の)べん。子(し)曰(いわ)く、天(てん)何(なに)をか言(い)わんや。四時(しじ)(※)行(おこな)われ、百物(ひゃくぶつ)(※)生(しょう)ず。天(てん)何(なに)をか言(い)わんや。
(※)四時……四季。
(※)百物……万物。
【原文】
子曰、予欲無言、子貢曰、子如不言、則小子何述焉、子曰、天何言哉、四時行焉、百物生焉、天何言哉、
*452話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。
【単行本好評発売中!】この連載が本になりました。全国書店もしくはネット書店にてご購入ください。
この本を購入する
感想を書く