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よみものどっとこむ

第3回

なぜ全身調整が大切なのでしょう?

2016.09.15更新

読了時間

 毎日の生活の中で行う、正しい医学的理論に裏付けられた方法で「不調」は治ります。いろいろな雑誌のつまみ食い情報や、テレビの情報番組は、すべてを信じてはダメです。私自身、雑誌やテレビで説明していますが、頁数や放送時間に縛られ、すべてを言い尽くすことはできていないので、よくわかります。


 猫背、巻き込み肩、ストレートネック、いかり肩、なで肩、不良座位、バストダウン、老け顔、骨盤のゆがみ、骨盤の左右の高さの違い、尿もれ、O脚、X脚、扁平足、外反母趾、冷え症、むくみ……。これらの姿勢のゆがみや不調に対しては、身体全体のバランス調整が何よりも大切になります。


 人はロボットではないので、そこだけを治しても、根本的な解決にはつながらないのです。骨盤の左右の高さの違いが、捻挫や扁平足につながり、それが腰痛や肩こりにつながる。これこそが人の特徴なのです。


 「楽な姿勢=いい姿勢」?
 「楽な運動=正しい運動」?


 理想的には○ですが、現実的には×のことが多いです。人は楽なことを覚えると、その姿勢や動きばかりを習慣化してしまいます。それが不調につながるということを知らないままに、です。


 いい姿勢、正しい運動が無意識に行えるようになると、それが本当に楽な姿勢や楽な運動へと発展していくのです。そのためには、気になる部分だけをみてもダメ、ストレッチだけを行ってもダメ、マッサージだけに頼ってもダメ、筋トレだけでもダメ、一般的な○○体操はもっとダメなのです。人によって、やっていい体操とやってはいけない体操があるのです。自分の体に合わせたオーダーメイドの方法、それこそが大切なのです。


 まずは、全体のバランス調整が大切です。特に、全身を様々な方向に包み込む「筋膜」をリリースし、筋肉が正しく動けるようにすることが先決。それからです、各部位のゆがみや不調を治すのは。


 筋膜は、全身に連なる三次元的に連続した結合組織であり、筋膜は全体として身体のすべての他の要素を覆っていて、「第2の骨格」ともいわれる組織です。40~50年前から研究が進み、筋膜は医学界のシンデレラストーリーと称され、現在ではスーパースターといわれています。


 筋膜は、膜に強度と形態を与える1型コラーゲン(膠原)線維と、形態記憶性と伸張性を与えるエラスチン(弾性)線維からなります(図1)。


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 筋膜は5種類あり、皮下脂肪の中の浅筋膜、全身をボティスーツのように覆う3層構造の深筋膜、筋肉を薄く包み深筋膜にも筋線維を送り込む筋外膜、そして筋外膜が筋束を包む筋周膜へと連続し、筋周膜が1本1本の筋線維を包み込む筋内膜へと連続しています(図2)。深筋膜はコラーゲン線維が多く、筋内膜はすべてコラーゲン線維です。


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 筋肉が使いすぎや不良姿勢で収縮を続けると、その筋肉の決まったところの筋外膜が硬くなり、筋外膜から筋線維を送り込まれた深筋膜が関節を越えて他の筋肉も硬くしていくのです(図3-1、3-2)。深筋膜は斜め、縦、横に走るコラーゲン線維が3層構造になっていますので、様々な方向へと筋膜の硬さを及ぼしていきます(図4)。


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 さらには筋線維を包む筋内膜も硬くなり、筋の力が低下し、柔軟性も低下し、運動のパフォーマンスも低下してしまうのです。


 また、腱は筋外膜と筋周膜・筋内膜のコラーゲン線維が平行に並びを変えた組織です。よって、筋外膜がよじれて硬くなると、常に腱を引っ張ることになり、腱が関節の感覚受容器を刺激して、関節の周りに痛みを感じることになります。関節に痛みを感じることが多いので、まさか筋膜に問題があるとはなかなか思えませんが、ほとんどが硬くなった筋膜に問題があるのです。


 筋膜の硬さを全身の筋膜リリースでほぐして、そのうえで、症状が強い部分のケアへと進めていくことが大切になります。


 正しい方法をあきらめないで継続することが大切なのです。脱・他力本願です。


 次回は、全身の筋膜リリースを紹介しましょう。

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著者

竹井 仁

首都大学東京健康福祉学部理学療法学科教授。医学博士、理学療法士、OMT。教育機関で学生教育を実践するかたわら、病院と整形外科クリニックにおいて臨床も実践。各種講習会も全国で展開。専門は運動学・神経筋骨関節系理学療法・徒手療法。解剖学にて医学博士取得。「世界一受けたい授業」「ためしてガッテン」「林修の今でしょ!講座」など多数のメディアに出演。著書多数。 

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