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子どもの敏感さに困ったら 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方 長沼睦雄

第26回

【HSCの本】まじめすぎる子が危ない!

2018.01.05更新

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5人に1人といわれる敏感気質(HSP/HSC)のさまざまな特徴や傾向を解説。「敏感である」を才能として活かす方法を紹介します。
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まじめすぎる子が危ない!

 敏感で繊細な子は、マイナス思考が強く、自分を責める気持ちが強いです。完璧主義で、「こうでなければいけない」というとらわれが強い。いわばまじめすぎるため、自分自身でどんどん自分を追い込んでしまうようなところがあります。

 私が診たある子の例を紹介します。

 この子は中学1年のころから頭痛、胸痛、脱力感、倦けん怠たい感、痺しびれ感などの身体症状がありました。ずっと我慢に我慢を重ねていたのですが、体にいろいろ症状があらわれて、心のほうもガタがきてしまいました。

 高校生のときに、ついにひどいめまいで歩けなくなりました。他の病院から「こんな症状の子がいるんだけど、診てくれないか」と話があって、私のところに来ました。

 そのめまいについては、「大嵐の中に大きな船が浮かんでいて、大揺れの船の中にジェットコースターがあって、その中でグルグル回されているようなめまい」と表現しています。調べると、神経学的な異常のないめまいでした。

 当時の所見には、頭痛、胸痛、幻視、腹痛、非現実感、非身体感、脱力感、痺れ感、心配性とあります。体の一部が痺れたり、痛くなったりして体調が悪化し、学校も行けず、引きこもり状態になりました。

 幼いころのほうが感受性が強く、何でも見通せたそうですが、言葉でそれを説明できなくて困ったようです。自分や他人の過去世が自然とわかり、運命をも知ることができていました。ある不思議な胸の痛みが続き、過去世療法を受けてその原因がわかり、痛みが消失しました。電磁波や化学物質への過敏性も顕著で、地球上で起きる大地震を事前に感知してしまいます。

 睡眠も浅く、眠れないのです。睡眠専門クリニックに紹介し、脳波測定をしてもらったところ、睡眠段階は浅くとどまり、瞬間覚醒が頻回に混入していました。

 薬も効きすぎてしまうので、いろいろな薬を使うことができませんでした。

 この子の救いになったのは、犬を飼ったことです。犬の世話をするようになり、犬の散歩のために一緒に歩くようになって犬に癒され、引こもり状態から脱して、外に出られるようになりました。

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著者

長沼 睦雄

十勝むつみのクリニック院長。1956年山梨県甲府市生まれ。北海道大学医学部卒業後、脳外科研修を経て神経内科を専攻し、日本神経学会認定医の資格を取得。北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了後、障害児医療分野に転向。北海道立札幌療育センターにて14年間児童精神科医として勤務。平成20年より北海道立緑ヶ丘病院精神科に転勤し児童と大人の診療を行ったのち、平成28年に十勝むつみのクリニックを帯広にて開院。HSC/HSP、神経発達症、発達性トラウマ、アダルトチルドレン、慢性疲労症候群などの診断治療に専念し「脳と心と体と食と魂」「見えるものと見えないもの」のつながりを考慮した総合医療を目指している。

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