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子どもの敏感さに困ったら 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方 長沼睦雄

第22回

【HSCの本】<子育てアドバイス>感性を伸ばすためにはどんな習いごとがいいか

2017.12.01更新

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5人に1人といわれる敏感気質(HSP/HSC)のさまざまな特徴や傾向を解説。「敏感である」を才能として活かす方法を紹介します。
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■あくまでも自主性を尊重することです

「敏感な子には、どんな習いごとや部活が向いていますか?」とよく質問されます。

 本人が自発的な意思で「やりたい」と言うのであれば、やらせてあげるのがいいと思いますが、「苦手を克服してもらいたい」「成績を伸ばしてもらいたい」「親と同じ道へ進んでもらいたい」といった親の思惑でやらせようとするのは、私はあまり賛成できません。

 敏感な子は、普通に生活しているだけでも刺激に圧倒され、気を遣いすぎて疲れやすいわけです。さらにたくさん刺激を浴びさせることよりは、ひとりで静かに過ごす時間、心身を休める時間を確保してあげることのほうが大切でしょう。

 ただし、本人がやりたいと言うならば、意思を尊重してあげることです。

 私の知っている子に「ピアノをやってみたい」と言う子がいました。その子は聴覚過敏があるため、お母さんは「音楽なんて無理でしょ」と言っていたのですが、いざ習いはじめてみたら、耳がいいこともあってどんどん上達した、という子がいます。

 このように、聴覚過敏でも受け身ではなく自分から楽しめるのなら問題ないわけです。

 運動が苦手でも、単純なことを繰り返し練習して鍛えたことで身体的な動きに自信がついた子もいます。能力を見限ることなく、子どものやりたいことを優先させてやらせてあげてください。

 私が診ている敏感な子どもたちには、吹奏楽をやっている子がとても多いのです。もともと音楽の持つ美しい音色、和音に惹かれやすいとか、耳がよくて上達が早いといったことが関係しているのかもしれません。ただ、吹奏楽部は練習時間が長い。勉強もしっかりとやらないといけませんし、集団活動なので、そこには当然いろいろな人間関係の難しさも出てきます。そんなことで疲れ果ててしまう子もいます。

 大好きな読書やお絵かき、創作ゲーム、工作、ネットサーフィン、歌、楽器、ペット遊びなど、ひとつでも夢中になって没頭できるものが見つかると、気持ちも安定しやすくなるようです。

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著者

長沼 睦雄

十勝むつみのクリニック院長。1956年山梨県甲府市生まれ。北海道大学医学部卒業後、脳外科研修を経て神経内科を専攻し、日本神経学会認定医の資格を取得。北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了後、障害児医療分野に転向。北海道立札幌療育センターにて14年間児童精神科医として勤務。平成20年より北海道立緑ヶ丘病院精神科に転勤し児童と大人の診療を行ったのち、平成28年に十勝むつみのクリニックを帯広にて開院。HSC/HSP、神経発達症、発達性トラウマ、アダルトチルドレン、慢性疲労症候群などの診断治療に専念し「脳と心と体と食と魂」「見えるものと見えないもの」のつながりを考慮した総合医療を目指している。

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