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よみものどっとこむ

第35回

99話~100話

2016.09.08更新

読了時間

99 仕事ができたうえに仁者をめざしたい


【現代語訳】

魯(ろ)の大夫(権力者の貴族)である孟(もう)武(ぶ)伯(はく)が孔子先生にたずねられた。「子路は仁者ですか」。孔子先生は、「わかりません」と答えられた。

孟武伯が重ねて聞くと、孔子先生はこう答えられた。「由(ゆう)(子(し)路(ろ))は、戦車千乗を持つような大国で政治、軍事をうまくやる力は十分ありますが、仁者かどうかはわかりません」。次に孟武伯は求(きゅう)(※)についてたずねられた。

孔子先生は言われた。「求(冉求)は千戸の地方都市や、戦車百乗の小国の長官はうまくやれるでしょう。しかし、仁者かどうかはわかりません」。さらに孟武伯は赤(せき)(※)(公(こう)西華(せいか))はどうですか」とたずねられた。

孔子先生は言われた。「赤は、衣冠束帯(そくたい)の礼服で朝廷に立ち、外国からのお客をうまく応待することができます。しかし、仁者かどうかはわかりません」。


(※)求……冉求のこと。字は子有で冉有ともいう。孔子より二十九歳年少の門人(99話参照)。

(※)赤……姓は公西、名は赤、字は子華。魯の人。孔子より四十二歳年少の門人。


【読み下し文】

孟(もう)武(ぶ)伯(はく)問(と)う、子(し)路(ろ)は仁(じん)なるか。子(し)曰(いわ)く、由(ゆう)や、千乗(せんじょう)の国に其(そ)の賦(ふ)を治(おさ)めしむべきなり。其(そ)の仁(じん)を知(し)らざるなり。求(きゅう)や如何(いかん)。子(し)曰(いわ)く、求(きゅう)や、千室(せんしつ)の邑(ゆう)、百乗(ひゃくじょう)の家(いえ)に、之(これ)が宰(さい)たろしむべし。其(そ)の仁(じん)を知(し)らざるなり。赤(せき)や如何(いかん)。子(し)曰(いわ)く、赤(せき)や束帯(そくたい)して朝(ちょう)に立(た)ち、賓客(ひんきゃく)と言(い)わしむべきなり。其(そ)の仁(じん)を知(し)らざるなり。


【原文】

孟武伯問、子路仁乎、子曰、不知也、又問、子曰、由也、千乘之國、可使治其賦也、不知其仁也、求也何如、子曰、求也、千室之邑、百乘之家、可使爲之宰也、不知其仁也、赤也何如、子曰、赤也、束帶立於朝、可使與賓客言也、不知其仁也、


100 謙そんと自負を併せ持ちたい


【現代語訳】

孔子先生が子(し)貢(こう)に言われた。「お前と顔回とどちらが優秀だろうか」。

子貢は応えて言った。「私はとても顔回には及びません。彼は一を聞くと十を知るほどですが、私は一を聞いて二を知るぐらいです」。

孔子先生は言われた。「よく言った。私もお前と同じように顔回には及ばないよ」。


【読み下し文】

子(し)、子(し)貢(こう)に謂(い)いて曰(いわ)く、女(なんじ)と回(かい)と孰(いずれ)れにか愈(まさ)れる。対(こた)えて曰(いわ)く、賜(し)や、何(なん)ぞ敢(あえ)て回(かい)を望(のぞ)まん。回(かい)や、一(いち)を聞(き)きて以(もっ)て十(じゅう)を知(し)る。賜(し)や、一(いち)を聞(き)きて以(もっ)て二(に)を知(し)るのみ。子(し)曰(いわ)く、如(し)かざるなり。吾(わ)れ女(なんじ)と与(とも)に如(し)かざるなり(※)。


(※)吾れ女と与に如かざるなり……これを「如(し)かず。吾(われ)、女(なんじ)に如(し)かざるに与(くみ)せん」と読む説もある(朱子など)。孔子が顔回にも及ばないのを認めるのはおかしいことを根拠とする。そうすると、「お前が顔回に及ばないということに賛成する」との意味となる。孔子は子貢の謙遜と自負にうれしくなり、励ます意味で「私は顔回に及ばないよ」と言ったのではないかと考えられる。


【原文】

子謂子貢曰、女與回也孰愈、對曰、賜也何敢望回、回也聞一以知十、賜也聞一以知二、子曰、弗如也、吾與女弗如也、



*99話、100話は長文のため、今回は2話のみの掲載となります。

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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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