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論語 全文完全対照版 野中根太郎

第41回

114話~116話

2016.09.16更新

読了時間

114 悪をにくんで人をにくまず


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「潔白な正義感で有名だった伯(はく)夷(い)と叔(しゅく)斉(せい)(※)は、悪をにくんでも人をにくまずで、昔の悪事をいつまでも根に持つこともなかった。だから人にもにくまれなかった」。


(※)伯夷と叔斉……孤竹君の子。周の武士が殷の紂王を滅ぼしたが、伯夷と叔斉は、たとえ紂王が暴君でも、それを臣下が誅することを不義した。そして、周の穀物を食べずに餓死した。後世の人はこの二人を賞すること大であり、有名な話となっている。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、伯(はく)夷(い)、叔(しゅく)斉(せい)は、旧悪(きゅうあく)を念(おも)わず。怨(うら)み、是(これ)をもって希(まれ)なり。


【原文】

子曰、伯夷叔齊、不念舊惡、怨是用希、


115 正直者にもいろいろある


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「微生(びせい)高(こう)(※)のことをバカ正直者と誰が言ったのか。ある人が酢を借りに行ったところ、自分の家になかったので、機転をきかせて隣の家から借りて与えたと聞いた。ちゃんと融通がきくではないか」。


(※)微生高……微生は姓。高は名。魯の人。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、孰(だ)れか微(び)生(せい)高(こう)を直(ちょく)と謂(い)うや。或(あ)るひと醯(す)を乞(こ)いしに、これを其(そ)の鄰(とな)りに乞(こ)うてこれに与(あた)えたり。


【原文】

子曰、孰謂微生高直、或乞醯焉、乞諸其鄰而與之、


116 内心と違う人との接し方はするべきではない


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「口がうまくて、つくり笑いをし、もみ手をするような度のすぎたていねいさを、私の好きな先輩である左(さ)丘(きゅう)明(めい)(※)は恥じた。また、心の中ではよからぬことを考え、敵意を抱いていながら、友だちづき合いをすることも恥じた。私も同じである」。


(※)左丘明……左丘は姓。明は名。孔子の先輩とみられている。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、巧言(こうげん)、令色(れいしょく)、足(すう)恭(きょう)(※)なるは、左(さ)丘(きゅう)明(めい)これを恥(は)ず。怨(うら)みを匿(かく)して其(そ)の人(ひと)を友(とも)とするは、左(さ)丘(きゅう)明(めい)これを恥(は)ず、丘(きゅう)(※)も亦(ま)たこれを恥(は)ず。


(※)足恭……うやうやしすぎる「足し」は「過」と同じ意味。

(※)丘……孔子の名。


【原文】

子曰、巧言令色足恭、左丘明恥之、丘亦恥之、匿怨而友其人、左丘明恥之、丘亦恥之、

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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

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