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よみものどっとこむ

第104回

284話~285話

2016.12.21更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

284 人の悪口に惑わされない者は聡明と言える


【現代語訳】

子張が明(明智・明察・聡明)についてたずねた。孔子先生は言われた。「水がじわじわと浸(し)み込んで来るような悪口や、肌身に受けるような痛切な訴えに惑わされないというのは大変難しいことだが、そういうことに惑わされない者は明と言える。これができる者は、遠くまで見通せる聡明な遠(※)が備わっていると言えよう」。


(※)遠……明の働きの遠きに及ぶことを指し、深みの意もある。


【読み下し文】

子張(しちょう)、明(めい)を問(と)う。子(し)曰(いわ)く、浸潤(しんじゅん)(※)の譖(そし)り、膚受(ふじゅ)(※)の愬(うった)え、行(おこな)われざるは、明(めい)と謂(い)うべきのみ。浸潤(しんじゅん)の譖(そし)り、膚受(ふじゅ)の愬(うった)え、行(おこな)われざるは、遠(えん)と謂(い)うべきのみ。


(※)浸潤……水が紙などにだんだんと浸み込んで潤していくこと。

(※)膚受……身を切られるなど、皮膚に直接傷つけられることを意味し、痛切なこと、切羽詰まっていること。


【原文】

子張問明、子曰、浸潤之譖、膚受之愬、不行焉、可謂明也已矣、浸潤之譖、膚受之愬、不行焉、可謂遠也已矣、


285 軍事、経済は重要だが、信義や道徳はもっと大事である


【現代語訳】

子貢(しこう)が政治のあり方についてたずねた。孔子先生は言われた。「食糧を十分にし(経済をよくし)、軍備を十分にし(軍事を充実し)、国民に信を持たせること(信義・道徳の浸透)である」。

子貢がまたたずねた。「どうしてもやむをえずに一つ捨て去るとしたら、何にしますか」。

先生は言われた。「軍備を捨て去る」。

子貢はさらにたずねた。「やむをえずに二つのうち一つを捨て去るとしたらどうしますか」。

先生は言われた。「食糧を捨て去るしかない。もちろん食べること(経済問題)が、とても重要であることはわかっている。しかし、人は誰でも死ぬものだ。だが、もし国民の間に信義・道徳がなかったとしたら、生きていても嫌なことばかりで、死んだほうがましとなるだろう」。


【読み下し文】

子貢(しこう)、政(せい)を問(と)う。子(そ)曰(いわ)く、食(しょく)を足(た)らし、兵(へい)を足(た)らし、民(たみ)をして之(これ)を信(しん)ぜしむ(※)。子貢(しこう)曰(いわ)く、必(かなら)ず已(や)むを得(え)ずして去(さ)らば、斯(こ)の三者(さんしゃ)に於(お)いて何(いず)れをか先(さき)にせん。曰(いわ)く、兵(へい)を去(さ)る。(子貢(しこう))曰(いわ)く、必(かなら)ず已(や)むを得(え)ずして去(さ)らば、斯(こ)の二者(にしゃ)に於(お)いて何(いず)れをか先(さき)にせん。曰(いわ)く、食(しょく)を去(さ)る。古(いにしえ)自(よ)り皆(みな)死(し)有(あ)り、民(たみ)、信(しん)無(な)ければ立(た)たず。


(※)民をして之を信ぜしむ……為政者を信じると解する説、信義と道徳を浸透、教育する説、その両方を意味する説がある。ここでは二番目の説を採っている。それがここでは素直な見方だろう。


【原文】

子貢問政、子曰、足食足兵、民信之矣、子貢曰、必不得已而去、於斯三者、何先、曰去兵、曰必不得已而去、於斯二者、何先、曰去食、自古皆有死、民無信不立、


*285話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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