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よみものどっとこむ

第103回

281話~283話

2016.12.20更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

281 仁の人は実践できてから言葉にする


【現代語訳】

司馬牛(※)が仁についてたずねた。孔子先生は言われた。「仁の人は、その言葉が慎重で控えめである」。

司馬牛は言った。「そのくらいのことで仁と言えるのですか」。

先生は言われた。「何事も実践することは難しいものだ。だから、仁の人は実践できてから言葉にするため、言葉が慎重になるのだ」。


(※)司馬牛……孔子の門人。孔子を殺そうとした司馬桓魋(169話参照)の弟だとされている。性格は口が軽く、軽率だったといわれている。


【読み下し文】

司馬牛(しばぎゅう)、仁(じん)を問(と)う。子(し)曰(いわ)く、仁者(じんしゃ)は其(そ)の言(い)うこと訒(おそ)(※)し。曰(いわ)く、其(そ)の言(い)うこと訒(おそ)くして、斯(ここ)に之(これ)を仁(じん)と謂(い)うか。子(し)曰(いわ)く、之(これ)を為(な)すこと難(かた)し。之(これ)を言(い)いて訒(おそ)きこと無(な)きを得(え)んや。


(※)訒……「かたんず」とも「しのぶ」とも読む。難しい、忍んで、慎重に、の意味。


【原文】

司馬牛問仁、子曰、仁者其言也訒、曰、其言也訒、斯謂之仁已乎、子曰、爲之難、言之得無訒乎、


282 心にやましいことがなくなれば、心配も恐れもなくなる


【現代語訳】

司馬牛が君子についてたずねた。孔子先生は言われた。「君子という者は心配もしないし、恐れもしない」。

司馬牛は言った。「心配もせず、恐れもしないことぐらいで君子と言えるのですか」。

先生は言われた。「己の心の中を省みて、何もやましいがことなくなって初めて、心配しないし、恐れることもなくなるのだ」。


【読み下し文】

司馬牛(しばぎゅう)、君子(くんし) を問(と)う。子(し)曰(いわ)く、君子(くんし) は憂(うれ)えず懼(おそ)れず。曰(いわ)く、憂(うれ)えず懼(おそれ)れず。斯(ここ)に之(これ)を君子(くんし)と謂(い)うか。子(し)曰(いわ)く、内(うち)に省(かえり)みて疚(やま)しからずんば、夫(そ)れ何(なに)をか憂(うれ)え、何(なに)をか懼(おそ)れん。


【原文】

司馬牛問君子、子曰、君子不憂不懼、曰、不憂不懼、斯謂之君子已乎、子曰、內省不疚、夫何憂何懼、


283 死生は運命であり、富貴は天からの預かり物


【現代語訳】

司馬牛がふさぎこんで言った。「世の人は兄弟と楽しくつき合っている。なのに私は兄弟と楽しくつき合えていない」。

兄弟子の子夏(しか)は言った。「商(子夏のこと)は、こういうことを聞いている。『人が生まれ、死ぬことは運命である。富や地位は天からの預かり物だ』と。君子が自分を慎んで落ち度をなくし、人とのつき合いをていねいに行い、礼を守っていれば、世の中の人は皆兄弟のようなものとなる。君子ならば、兄弟がいないことや、兄弟と楽しくつき合えないことを嘆く必要はない」。


【読み下し文】

司馬牛(しばぎゅう)、憂(うれ)えて曰(いわ)く、人(ひと)には皆(みな)兄弟(けいてい)有(あ)りて、我(われ)独(ひと)り亡(な)し(※)。子夏(しか)曰(いわ)く、商(しょう)、之(これ)を聞(き)く。死生(しせい)、命(めい)有(あ)り。富貴(ふうき)は天(てん)に有(あ)り、と。君子(くんし)、敬(つつ)しんで失(しつ)無(な)く、人(ひと)と恭(きょう)にして礼(れい)有(あ)らば、四海(しかい)の内(うち)、皆(みな)兄弟(けいてい)なり。君子(くんし) 、何(なん)ぞ兄弟(けいてい)無(な)きを患(うれ)えんや。


(※)我独り亡し……「人には皆、兄弟有りて」の対語で、「私だけには兄弟がいない」の意。


【原文】

司馬牛憂曰、人皆有兄弟、我獨兦、子夏曰、商聞之矣、死生有命、富貴在天。君子敬而無失、與人恭而有禮。四海之內、皆兄弟也、君子何患乎無兄弟也、



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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