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よみものどっとこむ

第106回

288話~289話

2016.12.26更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

288 まごころと信義を第一に守れ


【現代語訳】

子張が、「徳を高め、惑いを解くにはどうしたらよいでしょうか」とたずねた。

孔子先生は言われた。「忠(まごころ)と信(信義)を第一に守りつつ、義(正しい道理)を実践するようにすれば徳を高めることができる。人の生死は天命で決まるはずなのに、人を愛しては長く生きてほしいと思い、憎んでは早く死ねばいいなどと考える(同じ人に対して、さっきは生きてほしいと思い、今度は死んでほしいと思う)。このような心の状態を惑いというのである」。


【読み下し文】

子張(しちょう)、徳(とく)を崇(たっと)び惑(まど)いを弁(べん)ずるを問(と)う。子(し)曰(いわ)く、忠信(ちゅうしん)を主(しゅ)として義(ぎ)に徙(うつ)るは徳(とく)を崇(たっと)ぶなり。之(これ)を愛(あい)しては其(そ)の生(せい)を欲(ほっ)し、之(これ)を悪(にく)みては其(そ)の死(し)を欲(ほっ)す。既(すで)に其(そ)の生(せい)を欲(ほっ)し、又(また)其(そ)の死(し)を欲(ほっ)するは、是(こ)れ惑(まど)いなり。


【原文】

子張問崇德辨惑、子曰、主忠信徙義、崇德也、愛之欲其生、惡之欲其死、既欲其生、又欲其死、是惑也、


(※注)……古い資料では、この論語の後に「誠不以富。亦祇以異」がつく場合があるが、内容からして431話の一部がここに紛れ込んでいると解されている。本書でも431話の冒頭にこれを加えている。


289 名分・本分を尽くすことが大事である


【現代語訳】

斉(せい)の景公(※)が政治のあり方についてたずねた。孔子先生は言われた。「君主は君主らしく、家臣は家臣らしく、父は父らしく、子は子らしく、その本分を尽くすことです(景公の政治が乱れていることを皮肉っている)」。

景公は言った。「よいことをおっしゃった。本当に、もし君主が君主らしくなく、家臣が家臣らしくなく、父が父らしくなく、子が子らしくないと、たとえ国に食べ物が十分あったとしても、私はそれを安心して食べることができない(孔子の名分・本分を大事にせよとの主張を、自分の実入り〈取り分〉に矮小(わいしょう)して考えた景公の答え方である)」。


(※)景公……斉の君主。霊公の子。景公が在位の際、多くの大夫が勢力を争うが、陳氏が一番強大であった。一方の景公は税を高くし、女性におぼれるなど、君主としての本分がまったく備わっていなかった。


【読み下し文】

斉(せい)の景公(けいこう)、政(まつりごと)を孔子(こうし)に問(と)う。孔子(こうし)対(こた)えて曰(いわ)く、君(きみ)、君(きみ)たり、臣(しん)、臣(しん)たり、父(ちち)、父(ちち)たり、子(こ)、子(こ)たり。公(こう)曰(いわ)く、善(よ)いかな。信(まこと)に如(も)し、君(きみ)、君(きみ)たらず、臣(しん)、臣(しん)たらず、父(ちち)、父(ちち)たらず、子(こ)、子(こ)たらずんば、粟(ぞく)有(あ)りと雖(いえど)も、吾(われ)得(え)て諸(これ)を食(く)らわんや。


【原文】

齊景公問政於孔子、孔子對曰、君君、臣臣、父父、子子、公曰、善哉、信如君不君、臣不臣、父不父、子不子、雖有粟、吾得而食諸、


*288話と289話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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