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論語 全文完全対照版 野中根太郎

第109回

296話~297話

2016.12.29更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

296 政治をするものは私欲を去るべし


【現代語訳】

魯の大夫である季康子が、「魯の国に盗賊、反乱者などが多く困っています。どうしたらよいでしょうか」とたずねた。

孔子先生は言われた。「もし、あなたが君主が持つような政治権力を欲しようなどとしなければ(ただよい政治をして君主を輔(たす)けようとすれば、つまり私欲がなければ)、たとえいくら懸賞をつけたとしても、人は盗み、反乱などしませんよ」。


【読み下し文】

季康子(きこうし)、盗(とう)を患(うれ)えて、孔子(こうし)に問(と)う。孔子(こうし)対(こた)えて曰(いわ)く、苟(いやし)(※)くも子(し)の欲(ほ)せざれば、之(これ)を賞(しょう)すると雖(いえど)も窃(ぬす)(※)まざらん。


(※)苟……かりそめにも。かりにも。

(※)窃……人が知らないことに乗じて、自分のものにする。


【原文】

季康子患盜、問於孔子、孔子對曰、苟子之不欲、雖賞之不竊、


297 上に立つ者に徳があれば、下にいる者は必ずこれに応える


【現代語訳】

魯の大夫である季康子が政治のあり方を孔子にたずねた。「もし、言うことを聞かず、道にはずれた者たちを殺して、正しい者ばかりがいる国にするというのはどうでしょう」。

孔子先生は答えられた。「政治を行うのに、どうして人を殺す必要があるのでしょうか。もし、あなたが善を欲すれば、国民も次第に善をなすようになります。上に立つ者の徳は、風のようなものです。下にいる者の徳は、

草のようなものです。草は風が吹けば、必ずそれになびきます」。


【読み下し文】

季康子(きこうし)、政(まつりごと)を孔子(こうし)に問(と)うて曰(いわ)く、如(も)し無道(むどう)(※)を殺(ころ)して以(もっ)て有道(ゆうどう)(※)を就(な)さば如何(いかん)、と。孔子(こうし)対(こた)えて曰(いわ)く、子(し)、政(まつりごと)を為(な)すに焉(いずく)んぞ殺(さつ)を用(もち)いん。子(し)、善(ぜん)を欲(ほっ)すれば、民善(たみぜん)ならん。君子(くんし)の徳(とく)は風(かぜ)なり、小人(しょうじん)の徳(とく)は草(くさ)なり。草(くさ)は之(これ)に風(かぜ)を上(くわ)うれば必(かなら)ず偃(ふ)す。


(※)無道……悪人。

(※)有道……善人。


【原文】

季康子問政於孔子、曰、如殺無衜以就有衜、何如、孔子對曰、子爲政、焉用殺、子欲善而民善矣、君子之德風、小人之德草、草上之風必偃、


*298話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術-相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(共に誠文堂新光社)などがある。

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