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よみものどっとこむ

第113回

304話~305話

2017.01.06更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

304 優秀な人材を登用すれば、未知の逸材も自然と集まる


【現代語訳】

仲弓(ちゅうきゅう)が魯の大夫である季氏の領地の代官となって、政治の仕方についてたずねた。孔子先生は言われた。「部下となる役人の人事から先にやるといい。そして部下の小さな失敗は許してあげることだ。そして、優秀な人材を登用することだ」。

仲弓はさらにたずねた。「どうやって優秀な人材を見つけて登用したらいいでしょうか」。

先生は言われた。「お前が見つけた優秀な人材を登用すればいい、人材を用いることが知られれば、お前の知らない優秀な人材については、人がそのままにしておくはずがない。必ず推せんしてくるはずだ」。


【読み下し文】

仲弓(ちゅうきゅう)、季氏(きし)の宰(さい)(※)と為(な)り、政(まつりごと)を問(と)う。子(し)曰(いわ)く、有司(ゆうし)(※)を先(さき)にし、小過(しょうか)を赦(ゆる)し、賢才(けんさい)を挙(あ)げよ。曰(いわ)く、焉(いずく)んぞ賢才(けんさい)を知(し)りて之(これ)を挙(あ)げん。曰(いわ)く、爾(なんじ)の知(し)る所(ところ)を挙(あ)げよ。爾(なんじ)の知(し)らざる所(ところ)、人(ひと)其(そ)れ諸(これ)を舎(お)かんや。


(※)宰……家老。代官。

(※)有司……役人。宰の大勢の部下。


【原文】

仲弓爲季氏宰、問政、子曰、先有司、赦小過、擧賢才、曰、焉知賢才而擧之、曰、擧爾所知、爾所不知、人其舍諸、


305 すべては名分を正すことから始まる


【現代語訳】

子路がたずねた。「もし衛君が、今、先生をお招きして政治を任されるとしたら、何から手をつけられますか」。

孔子先生は言われた。「まず乱れて使われている名(名分)を正して、名と実を一致させるところから始める」。

子路は言った。「これだから先生は迂う 遠えんなことをなさる方だといわれるのです。今、この争いの激しい急場の時に、どうして名分などから正していくのでしょうか」。

先生は言われた。「がさつ者だな、由(子路)は。君子というのは、自分の知らないことについては黙っているものである。名が正しくなければ、言葉が正しいものでなくなる。言葉が正しいものでなくなると、物事が混乱して何事もうまくいかなくなる。そうなると礼も楽もめちゃくちゃになる。礼も楽もめちゃくちゃになると、刑罰は的を射たものでなくなる。そうなると国民は不安で手足を動かすのも不安になってしまう。こうしてみると、すべては名が乱れたことから始まっているのがわかる。君子たる者は、ものに名を付ける以上は、必ずそれにふさわしい言葉が出るようにしなくてはならない。そして、その言葉を出したならば、それを必ず実行できるようにしなければならない。君子は自分の言葉については決していい加減であってはならない」。


【読み下し文】

子路(しろ)曰(いわ)、衛君(えいくん)、子(し)を待(ま)ちて政(まつりごと)を為(な)さば、子(し)は将(まさ)に奚(いず)れをか先(さき)にせんとする。子(し)曰(いわ)く、必(かなら)ずや名(な)を正(ただ)さん(※)か。子路(しろ)曰(いわ)く、是(こ)れ有(あ)るかな、子(し)の迂(う)(※)なるや。奚(いずく)ぞ其(そ)れ正(ただ)さん。子(し)曰(いわ)、野(や)なるかな、由(ゆう)や。君子(くん)は其(そ)の知(し)らざる所(ところ)に於(お)いて蓋(けだ)し闕如(けつじょ)たり(※)。名(な)正(ただ)しからざれば、則(すなわ)ち言順(げんじゅん)ならず。言順(げんじゅん)ならざれば、則(すなわ)ち事(こと)成(な)らず。事(こと)成(な)らざれば、則(すなわ)ち礼(れい)楽(がく)興(おこ)らず(※)。礼楽(れいがく)興(おこ)らざれば、則(すなわ)ち刑罰(けいばつ)中(あた)らず。刑罰(けいばつ)中(あた)らざれば、則(すなわ)ち民(たみ)手足(しゅんそく)を措(お)く所(ところ)無(な)し。故(ゆえ)に君子(くんし)は之(これ)を名(な)すれば、必(かなら)ず言(い)うべきなり。之(これ)を言(い)えば、必(かなら)ず行(おこな)うべきなり。君子(くんし)は其(そ)の言(げん)に於(お)いて、苟(いやし)くもする所(ところ)無(な)きのみ(※)。


(※)名を正さん……名と実を一致させて、道理を正しくすること。

(※)迂……まわりくどい。

(※)蓋し闕如たり……わからないことは言わないようにする。

(※)礼楽興らず……礼楽がすたり、秩序と調和が欠けてしまうこと。

(※)苟くもする所無きのみ……決していい加減であってはいけない。原文の「而已矣」は文を強く言い切る強調の助詞。


【原文】

子路曰、衞君待子而爲政、子將奚先、子曰、必也正名乎、子路曰、有是哉、子之迂也、奚其正、子曰、野哉由也、君子於其所不知、蓋闕如也、名不正則言不順、言不順則事不成、事不成則禮樂不興、禮樂不興則刑罰不中、刑罰不中則民無所措手足、故君子名之必可言也、言之必可行也、君子於其言、無所苟而已矣、


*305話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。


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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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