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よみものどっとこむ

第114回

306話~308話

2017.01.10更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

306 この世は役割分担であることを知る


【現代語訳】

樊遅(はんち)が「穀物づくりのコツを教えていただきたい」とたずねた。孔子先生は言われた。「私は、経験豊富な農夫にかなわないよ」。樊遅はさらに、「では、野菜づくりのコツを教えてください」とたずねた。

先生は言われた。「私は、野菜づくり専門の農夫にかなわないよ」。

樊遅が部屋を出たあとで、先生は言われた。「まだよくわかっていないなあ、樊須(樊遅)は。上の者が礼を好めば、下の者は尊敬するようになる。上の者が信を好み、誠実ならば、下の者もまごころを込めて働くようになる。こうなれば、他の地からも人は子を背負ってやってくる。農耕をする人も増えるだろう。どうしていまさら自分自身で農作業のコツを教わろうとする必要があるだろうか」。


【読み下し文】

樊遅(はんち)、稼(か)(※)を学(まな)ばんと請(こ)う。子(し)曰(いわ)く、吾(われ)は老農(ろうのう)に如(し)かず。圃(ほ)(※)を為(つく)るを学(まな)ばんと請(こ)う。曰(いわ)く、吾(われ)は老圃(ろうほ)に如(し)かず。樊遅(はんち)出(い)づ。子(し)曰(いわ)く、小人(しょうじん)なるかな、樊須(はんす)や。上(かみ)、礼(れい)を好(この)めば、則(すなわ)ち民(たみ)敢(あ)えて敬(けい)せざる莫(な)し。上(かみ)、義(ぎ)を好(この)めば、則(すなわ)ち民(たみ)敢(あ)えて服(ふく)せざる莫(な)し。上(かみ)、信(しん)を好(この)めば、則(すなわ)ち民(たみ)敢(あ)えて情(じょう)を用(もち)いざる莫(な)し。夫(そ)れ是(かく)の如(ごと)くんば、則(すなわ)ち四方(しほう)の民(たみ)、其(そ)の子(こ)を襁負(きょうふ)して至(いた)らん。焉(いずく)んぞ稼(か)を用(もち)いん。


(※)稼……五穀を植えること。穀物づくり。

(※)圃……野菜を植えること。


【原文】

樊遲請學稼、子曰、吾不如老農、請學爲圃、曰吾不如老圃、樊遲出、子曰、小人哉樊須也、上好禮、則民莫敢不敬、上好義、則民莫敢不服、上好信、則民莫敢不用情、夫如是、則四方之民、襁負其子而至矣、焉用稼、


307 勉強だけできても実践できない者は何の役にも立たない


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「たとえ詩経(しきょう)の三百篇を暗誦するほど勉強ができたとしても、社会で実践できなければ意味がない。内政をやらせても達成できるものがなく、外国に使者として行っても、相手との交渉をまとめることができないようであれば、何の役にも立たない」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、詩(し)三百(さんびゃく)を誦(しょう)す。之(これ)を授(さず)くるに、政(まつりごと)を以(もっ)てして達(たっ)せず。四方(しほう)に使(つか)いして専対(せんたい)(※)すること能(あた)わずんば、多(おお)しと雖(いえど)も亦(ま)た奚(なに)を以(もっ)て為(な)さん。


【原文】

子曰、誦詩三百、授之以政不逹、使於四方不能專對、雖多亦奚以爲、


308 リーダーが正しくあれば人はついてくる


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「為政者として自分自身の行いが正しければ、命令せずとも人はついてくる。しかし、行いが正しくないと人はついてこない」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、其(そ)の身(み)(※)正(ただ)しければ、令(れい)せずして行(おこ)なわる。其(そ)の身(み)正(ただ)しからざれば、令(れい)すと雖(いえど)も従(したが)わず。


(※)其の身……自分自身。ここでは為政者としての自分自身の行為を意味する。


【原文】

子曰、其身正、不令而行、其身不正、雖令不從、


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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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