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よみものどっとこむ

第165回

429話~430話

2017.03.23更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

429 君子はいつも九つのことを思うようにする


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「君子には九つの思うべきことがある。(一)物を見る時は、しっかり見ようと思う。(二)聞く時は、正しくはっきりと聞こうと思う。(三)顔つきは、穏やかであろうと思う。(四)容貌は慎み深く上品であろうと思う。(五)言葉は誠実であろうと思う。(六)仕事をする時は、注意深く間違えないようにと思う。(七)疑問が出た時は、人に問おうと思う。(八)腹が立った時は、後のめんどうを思う。(九)自分への利益を目の前にした時は、それが道義にかなったものかを思う」。


【読み下し文】

孔子(こうし)曰(いわ)く、君子(くんし)に九(ここの)つの思(おも)い有(あ)り。視(み)るには明(めい)(※)を思(おも)い、聴(き)くには聡(そう)(※)を思(おも)い、色(いろ)(※)には温(おん)(※)を思(おも)い、貌(かたち)には恭(きょう)を思(おも)い、言(げん)には忠(ちゅう)を思(おも)い、事(こと)には敬(けい)(※)を思(おも)い、疑(うたが)いには問(と)いを思(おも)い、忿(いか)りには難(なん)を思(おも)い、得(う)るを見(み)ては義(ぎ)を思(おも)う。


(※)明……すべてをよく見る。なお、徳川家康は、慎重にじっくりと広く観察する人として知られているが、山本七平によると、家康はこの論語の特にこのところを心に留めて戒めていたとしている。

(※)聡……すべてを正しく、よく聞くこと。

(※)色……ここでは顔色、顔つきの意。

(※)温……温和。穏やか。

(※)敬……注意深く、集中して、怠らないこと。間違えないこと。


【原文】

孔子曰、君子有九思、視思明、聽思聰、色思溫、貌思恭、言思忠、事思敬、疑思問、忿思難、見得思義、


430 世に出て、正しい志を実現していくことはやさしくない


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「善を見たならば、逃げるものを追いかけるような気持ちで、善を追求したい。不善を見たならば、熱湯の中に手を入れたら、びっくりして手を引っ込めるように、不善から遠ざかりたい。私は実際そういう人を見たことがある。そういう言葉が使われているのを聞いたこともある。これに対し、世間から隠れている時も、世に出た時に役立とうと志を貫いて徳を修め続け、世に出た時にその志を実現するという言葉を聞いたことはあるが、そういう人をまだ見たことがない」。


【読み下し文】

孔子(こうし)曰(いわ)く、善(ぜん)を見(み)ては及(およ)ばざるが如(ごと)く(※)し、不善(ふぜん)を見(み)ては湯(ゆ)を探(さぐ)るが如(ごと)くす。吾(われ)其(そ)の人(ひと)を見(み)たり。吾(われ)其(そ)の語(ご)を聞(き)く。隠居(いんきょ)して以(もっ)て其(そ)の志(こころざし)を求(もと)め、義(ぎ)を行(おこな)い(※)て以(もっ)て其(そ)の道(みち)を達(たっ)す。吾(われ)其(そ)の語(ご)を聞(き)く。未(いま)だ其(そ)の人(ひと)を見(み)ざるなり。


(※)及ばざるが如く……追っても追いつくことがないように注意して。

(※)義を行い……任官を得て、志を世に行うこと。


【原文】

孔子曰、見善如不及、見不善如探湯、吾見其人矣、吾聞其語矣、隱居以求其志、行義以逹其衜、吾聞其語矣、未見其人也、


*429話と430話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。


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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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