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よみものどっとこむ

第170回

440話

2017.03.30更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

440 諌言には誠実に対応する


【現代語訳】

晋の大夫・趙簡子(ちょうかんし)の家老である仏肸(ひつきつ)が謀叛(むほん)を起こして、孔子先生を招いた。先生はその招きに応じて行こうとしたので高弟の子路が反対して言った。「以前、私は先生から、自ら不善を犯すような者の仲間に、君子は入らないものだと教わりました。しかし、仏肸は預かっている領地の中牟(ちゅうぼう)を押領(おうりょう)して主人に叛そむいています。そのような者の所へ行くのはどうかと思われます」。

先生は言われた。「なるほど、そう言ったこともある。しかし、それは修行中の者についての言葉であった。ことわざにもある。『真に堅いものは、いくら磨(す)っても薄くはならない。真に白いものは、いくら塗(ぬ)っても黒くならない』。私も彼らを善導こそすれ、不善に染まることなどない。私は、ぶら下がってるだけで食用にもならない、あのにがうりのようにはなりたくないのだ」。


【読み下し文】

佛肸(ひつきつ)(※)、召(め)す。子(し)往(ゆ)かんと欲(ほっ)す。子路(しろ)曰(いわ)く、昔者(むかし)由(ゆう)や、諸(これ)を夫子(ふうし)に聞(き)けり。曰(いわ)く、親(みずか)(※)ら其(そ)の身(そ)に於(お)いて不善(ふぜん)を為(な)す者(もの)には、君子(くんし)は入(い)らざるなり、と。佛肸中牟(ひつきつちゅうぼう)を以(もつ)て畔(そむ)く。子(し)の往(ゆ)かんとするや、之(これ)を如何(いかん)せん。子(こ)曰(いわ)く、然(しか)り。是(こ)の言(げん)有(あ)るなり。堅(かた)きを曰(い)わずや、磨(ま)すれども磷(すりへ)らず。白(しら)きを曰(い)わずや、涅(ぬ)(※)れども緇(くろ)(※)まず。吾(われ)、豈匏(あにほう)瓜(か)ならんや、焉(いずく)んぞ能(よ)く、繫(かか)りて食(く)らわれざらんや。


(※)佛肸……晋の大夫。趙簡子(ちょうかんし)の領地、中牟(ちゅうぼう)というところの代官。孔子六十三歳の時に謀叛を起こし孔子を招いたという。なお、この論語は後世に入れたものではないかとの説もある(佛肸は孔子の死後の人との説もある)。また、438話と並んで孔子の進退を批判し、子路に分があるという解釈も多い。しかし、孔子の世を変えたいという熱情、志の高さを示すものとも評価できる。

(※)親……自ら。

(※)涅……水中にある黒土。

(※)緇……黒色。


【原文】

佛肸召、子欲徃、子路曰、昔者由也聞諸夫子、曰、親於其身爲不善者、君子不入也、佛肸以中牟畔、子之徃也如之何、子曰、然、有是言也、不曰堅乎、磨而不磷、不曰白乎、涅而不緇、吾豈匏瓜也哉、焉能繫而不食、


*440話が長文のため、今回は1話のみの掲載となります。


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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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