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よみものどっとこむ

第177回

454話

2017.04.10更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

454 三年の喪の意味


【現代語訳】

宰我(予)が、孔子先生に問うた。「三年の喪(※)というのは長すぎませんか。君子が三年も礼を行わなかったら、礼は乱れます。三年も音楽をしなかったら、音楽も正調がくずれます。去年の穀物が食べ尽くされて、新しい穀物が出てくるのは一年です。木をすって火を起こすために用いる木の種類も一年で一巡します。ですから、喪を一年で終わりにしてよいのではないでしょうか」。

先生は言われた。「親が亡くなっても一年たてば、おいしいご飯を食べ、美しい錦の着物を着て、お前は何ともないのか」。

宰我は答えた。「はい、別に平気です」。

先生は言われた。「お前がそれで何ともないというのならそうすればいいだろう。そもそも、君子が親の喪に服している時は、おいしいものを食べてもおいしく感じず、音楽を聴いても楽しいと感じず、普段いるところにいても、心は安んじないものだ。だからこうした喪の制度ができた。しかし、お前が平気だというのならそうしたらいい」。

宰我は退出すると、先生は言われた。「さても予(宰我)の不仁なことよ。子どもは生まれてから三年で、やっと父母の懐(ふところ)から離れられる。だから三年の喪というのが天下の常識になっている。予は親から三年の愛を受けなかったのだろうか」。


(※)三年の喪……父母の死の時の喪。足かけ三年の喪であるが二十五ヵ月という説と二十七ヵ月という説がある。


【読み下し文】

宰我(さいが)問(と)う。三年(さんねん)の喪(も)は、期(き)して己(すで)に久(ひさ)し。君子(くんし)、三年(さんねん)の礼(れい)を為(な)さざれば、礼(れい)必(かなら)ず壊(やぶ)れん。三年(さんねん)楽(がく)を為(な)さざれば、楽(がく)必(かなら)ず崩(くず)れん。旧穀(きゅうこく)既(すで)に没(つ)きて、新穀(しんこく)既(すで)に升(みの)る。燧(すい)を鑽(き)り(※)火(ひ)を改(あらた)め(※)、期(き)にして已(や)むべし。子(し)曰(いわ)く、夫(か)の稲(いね)を食(く)い、夫(か)の錦(にしき)を衣(き)る。女(なんじ)に於(お)いて安(やす)きか。曰(いわ)く、安(やす)し。女(なんじ)安(やす)ければ則(すなわ)ち之(これ)を為(な)せ。夫(そ)れ君子(くんし)の喪(も)に居(お)るや、旨(うま)きを食(く)らえども甘(あま)からず、楽(がく)を聞(き)けども楽(たの)しからず、居処(きょしょ)して安(やす)からず、故(ゆえ)に為(な)さざるなり。今(いま)女(なんじ)安(やす)ければ則(すなわ)ち之(これ)を為(な)せ。宰我(さいが)出(い)づ。子(し)曰(いわ)く、予(よ)の不仁(ふじん)(※)なるや。子(こ)生(う)まれて三年(さんねん)、然(しか)る後(のち)に父母(ふぼ)の懐(ふところ)より免(まぬ)がる。夫(そ)れ三年(さんねん)の喪(も)は天下(てんか)の通喪(つうそう)(※)なり。予(よ)や、其(そ)の父母(ふぼ)において三年(さんねん)の愛(あい)有(あ)るか。


(※)燧を鑽り……木を切りこみして火を取ること。

(※)火を改め……春秋時代で火の色を改めた。したがって火を取るための木をそれぞれに変えて一年で一巡した。

(※)不仁……ここでは親を大事にしない徳の意。

(※)通喪……あらゆる階級に通じて行う喪の制度。


【原文】

宰我問、三年之喪期已久矣、君子三年不爲禮、禮必懷、三年不爲樂、樂必崩、舊穀既沒、新穀既升、鑽燧改火、期可已矣、子曰、食夫稻、衣夫錦、於女安乎、曰、安、女安則爲之、夫君子之居喪、食旨不甘、聞樂不樂、居處不安、故不爲也、今女安則爲之、宰我出、子曰、予之不仁也、子生三年、然後免於父母之懷、夫三年之喪、天下之通喪也、予也有三年之愛於其父母乎、


(※注)……喪の長短は難しい問題である。おそらく孔子の時代にも三年の喪が長すぎないかとの議論が多くあったのであろう。この論語は宰我は言語に優れ、雄弁でもあったためか、孔子先生に論戦を挑み、逆に厳しく教えられたところのものであろう。



*454話が長文のため、今回は1話のみの掲載となります。



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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