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よみものどっとこむ

第76回

213話~215話

2016.11.10更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

213 世を嘆く中にも、自分への覚悟を忘れない

【現代語訳】

孔子先生は言われた。「瑞(ずい)鳥(ちょう)とされる鳳(ほう)鳥(ちょう)(※)も出て来ないし、吉兆の時に黄河から現れるという図(※)を背負った龍(りょう)馬(ば)も出て来ない。つまり、私を活かすことのできる君主が出ないということなのだろう」。


(※)鳳鳥……雄は「鳳」で雌は「凰」という。瑞鳥は聖王が世に出る時に来て舞ったといわれている。


(※)図……八卦のもとになった絵。黄河から龍馬(八尺以上の立派な馬)がこの図を背負って出たという。これも聖人の出る瑞鳥とされる。なお、龍馬は「りょうば」、「りゅうば」、「りょうめ」、「りゅうめ」とも読む。俗に「りょうま」と読まれている。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、鳳(ほう)鳥(ちょう)至(いた)らず、河(か)、圖(と)を出(い)ださず。吾(わ)れ已(や)んぬるかな。


【原文】

子曰、鳳鳥不至、河不出圖、吾已矣夫、


214 礼儀、敬意を忘れない


【現代語訳】

孔子先生は、喪服を着た人、礼服を着た人、目の不自由な人に会った時、相手が年下であっても、必ず席を起(た)って敬意を表した。そして、その人たちの前を通る時も、必ず小走りして敬意を示した。


【読み下し文】

子(し)、斉(し)衰(さい)(※)なる者(もの)、冕(べん)衣裳(いしょう)(※)なる者(もの)と、瞽(こ)者(しゃ)(※)とを見(み)るに、これを見(み)ては、少(わか)しと雖(いえど)も必(かなら)ず作(た)つ。これを過(す)ぎるに必(かなら)ず趨(はし)る。


(※)斉衰……第二級の喪服。第一級は「斬衰(ざんさい)」というが、ここでの斉衰は一般に喪服の意味で用いられている。

(※)冕衣裳……礼服。官服。

(※)瞽者……盲人。目の不自由な人。


【原文】

子見齊衰者冕衣裳者與瞽者、見之雖少者必作、過之必趨、


215 いくら学んでも先生には及ばない(先には先がある楽しみ)


【現代語訳】

高弟の一人顔(がん)淵(えん)が、ため息をつきながら孔子先生のことを言った。「先生は仰ぎ見れば見るほど高くそびえておられる。まるで岩に穴をあけようとしても堅くて切り開けず、前におられるかと思えば、いつの間にか後ろにおられるかのようである。先生は私たちを順序よく、うまく指導してくださる。私たちに知識を拡く与えてくださり、礼の実践についても間違えないように教えてくださる。このように先生の指導は大変だけれども楽しくてやめることができない。知らず知らずのうちに、私たちは才能を出しつくしているのだが、それでも先生が目の前にしっかりと立ちそびえておられるのが見える。先生につき従っていこうとしても、とても及ばないのである」。


【読み下し文】

顔(がん)淵(えん)、喟(き)然(ぜん)として歎(たん)じて曰(いわ)く、これを仰(あお)げば弥(いよ)々(いよ)高(たか)く、これを鑽(き)(※)れば弥(いよ)々(いよ)堅(かた)し。これを瞻(み)れば前(まえ)にあり、怱焉(こつえん)として後(しり)えにあり。夫子(ふうし)、循(じゅん)循(じゅん)然(ぜん)として善(よ)く人を誘(みち)びく。我(われ)を博(ひろ)むるに文(ぶん)を以(もっ)てし、我(われ)を約(やく)するに礼(れい)を以(もっ)てす。罷(や)めんと欲(ほっ)して能(あた)わず。既(すで)に吾(わ)が才(さい)を竭(つく)す。立(た)つ所(ところ)ありて卓(たく)爾(じ)(※)たるが如(ごと)し。これに従(したが)わんと欲(ほっ)すと雖(いえど)も、由(よ)る末(な)きのみ。


(※)鑽……穴をあける。堅いものをのみでたたき切る。

(※)卓爾……しっかりと立っていられる。「爾」はその形容する助字。


【原文】

顔淵喟然歎曰、仰之彌高、鑽之彌堅、瞻之在前、忽焉在後、夫子循循然善誘人、博我以文、約我以禮、欲罷不能、既竭吾才、如有所立卓爾、雖欲從之、末由也已、

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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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