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よみものどっとこむ

第99回

275話~276話

2016.12.14更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

275 師より先に死ねるか 


【現代語訳】

孔子先生が匡(きょう)の地で人違いで襲われ、命の危険にさらされた。その時、顔淵(顔回)が一行からはぐれて行方不明になったものの、遅れて追いついてきた。

先生は言われた。「お前が死んだかと心配した」。

顔淵は言った。「先生が生きておられるのに、この私が死ぬわけにはいきません」。


【読み下し文】

子(し)、匡(きょう)に畏(い)す(※)。顔淵(がんえん)、後(おく)る。子(し)曰(いわ)く、吾(われ)女(なんじ)を以(もっ)て死(し)せりと為(な)す。曰(いわ)く、子(し)在(いま)す。回(かい)、何(なん)ぞ敢(あ)えて死(し)せん。


(※)匡に畏す……210話で解説したように、孔子が魯の軍務大臣の陽虎と間違えられて、匡の軍隊に囲まれた際、生命の危機にさらされた時のことをいう。


【原文】

子畏於匡、顏淵後、子曰、吾以女爲死矣、曰、子在、回何敢死、


276 悪人の自慢話は聞くに堪えない


【現代語訳】

魯の大夫、季氏一門の季子然(※)が孔子先生にたずねた。「最近自分が召し抱えた仲由(子路)と冉求(冉有)は大臣(※)ともいうべき人材でしょうか」。

先生はその質問がおもしろくないようで次のように答えられた。「これは異(い)なる質問をなさいます。もっと偉大な人のことかと思ったら、二人のことですか。大臣というものは、正しい道が行われるために君に仕え、もし諫(いさ)めても聞かれず正しい道が行われなければ、その任から退くべきものです。だとすれば由と求は、そこまで行っておらず、ただの具臣(※)というべきものではないでしょうか」。

季子然はさらにたずねた。「具臣というのなら、主人の命令は必ず聞きますか」。

先生は答えられた。「二人とも正しい道について学んだ者たちです。父や主君を殺すことになるような大義名分に反する命令には従うことはありえません」。


(※)季子然……魯の権力者でいわゆる三桓の一つであった季平子の子。季桓子(きかんし)の弟。この論語では、孔子の門人の秀才である子路と冉有を家来にして得意がっている季子然を嫌みたっぷりに非難しつつ、いくら家来となっていても二人の門人は「悪徳なことには従いませんよ」との警告を発している。なお、君主でもなく大夫にすぎない季氏が、「孔子は家来にすぎない子路と冉有を大臣と言うのは非礼である」と暗に批判している。

(※)大臣……君主を支える重臣。ここでは大臣たるにふさわしい偉大な臣下の意。

(※)具臣……役に立たない家臣。


【読み下し文】

季子然(きしぜん)問(と)う。仲由(ちゅうゆう)、冉求(ぜんきゅう)は大臣(だいじん)と謂(い)うべきか。子(し)曰(いわ)く、吾(われ)は子(し)を以(もっ)て、異(こと)なるを之(こ)れ問(と)うと為(な)す。曾(すなわ)ち由(ゆう)と求(きゅう)とを之(これ)問(と)う。所(いわゆる)謂大臣(だいじん)なる者(もの)は、道(みち)を以(もっ)て君(きみ)に事(つか)え、可(きか)れざれば則(すなわ)ち止(や)む。今(いま)、由(ゆう)と求(きゅう)や、具ぐ臣(ぐしん)と謂(い)うべきなり。曰(いわ)く、然(しか)らば則(すなわ)ち之(これ)に従(したが)う者(もの)か。子(し)曰(いわ)く、父(ちち)と君(きみ)とを弑(しい)するには、亦(ま)た従(したが)わざるなり。


【原文】

季子然問、仲由冉求、可謂大臣與、子曰、吾以子爲異之問、曾由與求之問、所謂大臣者、以衜事君、不可則止、今由與求也、可謂具臣矣、曰、然則從之者與、子曰、弑父與君、亦不從也、


*276話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。


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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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