Facebook
Twitter
RSS

第10回

一般的な肩こり・首こり解消

2018.07.15更新

読了時間

【 この連載は… 】 テレビ、雑誌などでお馴染みの「姿勢」の第一人者が、疲れない体をつくる知識とメソッドを徹底紹介。医学的理論に基づいた「全身のつながり」を意識した姿勢改善エクササイズで、腰痛や肩こり、慢性疲労などの不調を劇的に改善します。
「目次」はこちら


 いかり肩でもなで肩でもないけど肩や首がこる人は、多くいます。書き物、編み物、パソコンや携帯の長時間の使用など、長く同じ姿勢をとり、肩まわりの筋肉を酷使することで、肩こりや首こりが起きてきます。

 肩こりや首こりがひどくなると、偏頭痛やめまい、耳鳴りまで起きてきて、ひどくなると自律神経失調症も加わり、普通に生活するのさえ辛くなってしまい、仕事にも行けなくなります。

 そうならないためにも、普段からこりを解消することが大切なのです。


 まずは、肩甲骨を大きく動かすことから始めます。1つの肩甲骨に17個もの筋肉が付いています。これらの筋肉が自由に大きく動けるように筋膜リリースから始めましょう。


1 肩甲骨抱きかかえ筋膜リリース


10_1

 椅子に座り、両手を前面で交差して、それぞれ反対側の肘をつかみます。そのまま両肘を前下方に突き出して背面を伸ばして10秒リリース。次に後ろ上方に引いて前面を伸ばして10秒リリースします。


10_2

 次に、手は交差したまま両肘をまっすぐ前方に突き出して背面を伸ばして10秒リリース。次にまっすぐ後ろに引いて前面を伸ばして10秒リリースします。


10_3

 さらに、手は交差したまま両肘を前上方に突き出して背面を伸ばして10秒リリース。次に後ろ下方に引いて前面を伸ばして10秒リリースします。

 これを3回繰り返してください。


 前に出すときに腰が丸まりすぎる、後ろに引くときに腰が反りすぎるというのはNGです。


2 タオルで頭引き伸ばし筋膜リリース


10_4

 タオルを両手で持ち、頭と首の境のくぼみに引っかけます。次に、あごを軽く引き20秒リリースします。そのまま、頭全体を斜め上に向かって引き伸ばして20秒リリースします。このときに首全体が筒のように伸びるのが理想です。頭に引っ張られてお尻が椅子から浮かないように、しっかりとつけておいてください。これを3回繰り返してください。


 あごが引けずに上がってしまう、腰がそってしまうというのはNGです。


3 肩甲骨時計回り・反時計回り体操


10_5

 次に、肩甲骨を大きく動かして、首から肩のこりをほぐしていく体操を紹介します。この体操は、いかり肩の人、なで肩の人、そしてどちらでもないけど首や肩がこる人の3タイプの人全員共通の体操です。立っても座ってもできますので、是非試してください。

 この体操で、なで肩の人は腕を上げる動きが、いかり肩の人は腕を下げる動きが難しく感じます。難しく感じる側を意識して動かすようにしましょう。

 後ろから肩甲骨を見たときに、両方の肩甲骨を時計回りと、反時計回りに動かす体操です。

 まずは左腕を頭上に上げ、右腕を背中の後ろに回して、それぞれの肘を直角に曲げます。これが構えです。

 そして、両方の肩甲骨を、後ろから見て時計回りに回すように腕を動かしていきます。肘は曲げたままです。回した位置で、最低5秒間は止めてください。そしてまた構えに戻します。この一連の動きを、最初は10回から開始し、徐々に回数を増やしてください。5秒間保持の間に、息は止めないようにしてください。

 この体操では、左の肩甲挙筋のストレッチングと左の僧帽筋上部線維の筋力強化、右の僧帽筋上部線維のストレッチングと右の肩甲挙筋の筋力強化が行えます。


10_6

 次に、右腕を頭上に上げ、左腕を背中の後ろに回して、それぞれの肘を直角に曲げます。これが構えです。

 そして、両方の肩甲骨を、後ろから見て反時計回りに回すように腕を動かしていきます。肘は曲げたままです。回した位置で、最低5秒間は止めてください。そしてまた構えに戻します。この一連の動きを、最初は10回から開始し、徐々に回数を増やしてください。5秒間保持の間に、息は止めないようにしてください。

 この体操では、右の肩甲挙筋のストレッチングと右の僧帽筋上部線維の筋力強化、左の僧帽筋上部線維のストレッチングと左の肩甲挙筋の筋力強化が行えます。


 もしも、左がなで肩気味で、右がいかり肩気味の場合では、時計回りの方が難しくなりますので、左腕を上げて右腕を背中の後ろに回す動きの時間と回数を増やすようにしてください。


4 肩甲骨回転+シェー筋膜リリース


10_7

 まずは右腕を頭上に上げ、左腕を背中の後ろに回して、それぞれの肘を直角に曲げます。これが構えです。そして、両方の肩甲骨を、後ろから見て反時計回りに回すように腕を動かしていきます。肘は曲げたままです。ここで20秒リリースしましょう。

 さらに効果を上げたい場合は、右足を左足の前で交差してから、シェー筋膜リリースを加えて20秒リリースしましょう。これも楽にできるようになれば、引き続き鼻を左肩に近づけるように回して20秒リリースしましょう。このときは、首だけを回すのが理想なので、右肘が前に引っ張られないように注意してください。慣れてきたら、それぞれの時間も長くしてください。

 次に反対側も行います。左腕を頭上に上げ、右腕を背中の後ろに回して、両方の肩甲骨を、後ろから見て時計回りに回すように腕を動かしていき、さらに左足を右足の前で交差してシェー筋膜リリース、そして鼻を右肩に近づけましょう。

 左右で動かしにくい方向を、時間をかけてほぐすようにしましょう。

 肩甲骨には多くの筋肉が付着しています。頭、首、肩甲骨、肩、背骨をつなぐ筋膜をほぐすことで、肩甲骨まわりが効果的にリリースされます。さらにシェー筋膜リリースを加えることで、上に挙げた腕の指先からウエストを通って足の先までの筋膜をリリースすることにつながります。からだ全体がぽかぽかしてきて、広い範囲で筋膜がリリースされます。もしも、足を交差するのが難しい場合は、肩甲骨を回すまででも構いません。慣れてきてから、足を交差してみてください。無理はしないでくださいね。


 肩甲骨を回すときに肘だけ曲がってしまう、肩甲骨を回そうとしているときにからだが倒れてしまうというのはNGです。


 いかがでしたか? 紹介した体操をすべてやりなさいということではありません。できる体操から、時間に合わせていくつかをやっていただいても効果は上がります。さらに、一日の中で何回かに分けて繰り返して行ってみてください。これが効果を上げる極意です。

 次回は、いかり肩となで肩の人の肩こり解消法を紹介します。

「目次」はこちら


【第16回までで解説した上半身の姿勢改善が、本になりました。】
『疲れない体になるには筋膜をほぐしなさい』

この本を購入する
シェア

Share

感想を書く感想を書く

※コメントは承認制となっておりますので、反映されるまでに時間がかかります。

著者

竹井 仁

首都大学東京健康福祉学部理学療法学科教授。医学博士、理学療法士、OMT。教育機関で学生教育を実践するかたわら、病院と整形外科クリニックにおいて臨床も実践。各種講習会も全国で展開。専門は運動学・神経筋骨関節系理学療法・徒手療法。解剖学にて医学博士取得。「世界一受けたい授業」「ためしてガッテン」「林修の今でしょ!講座」など多数のメディアに出演。著書多数。 

矢印