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子どもの敏感さに困ったら 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方 長沼睦雄

第20回

【HSCの本】<子育てアドバイス>体を鍛えるならオススメは個人競技や武道系

2017.11.17更新

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5人に1人といわれる敏感気質(HSP/HSC)のさまざまな特徴や傾向を解説。「敏感である」を才能として活かす方法を紹介します。
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■体を鍛え、心も整えられ、自己肯定感が持てる──これは一石三鳥だ

「いま小学生ですが、ひどい運動オンチです。体幹がふらふらしていて、歩き方もちょっとヘン。学校でバカにされて、悔しい思いをしているようです。本人に自信をつけさせるためにも何か体を動かすことをやらせたいのですが、何がいいでしょうか。優しい子なので、人と争うことは向いていません」

 敏感すぎる人には、周囲の雰囲気を感じて身体を固くする胎生期の恐怖麻痺反射が残っている可能性があると前に説明しました。筋肉の低緊張が生じやすく、姿勢の維持などが難しく、集中力に欠ける場合があります。身体を使うのにムダな「りきみ」があり、疲れやすくなります。

 そんな子は、身体を緩ませたり緊張させたりするリズムのある単純な運動の繰り返しを通して、身体感覚を高めると効果があります。

 運動オンチな子どもは、どうしても身体遊びに消極的で、一人遊びが多くなり、お絵かきやままごとなどのイメージ遊びが多くなりがちです。集団活動のなかでの不器用さや遅さが目立ってしまうことなどもあり、自己主張の弱い自信のない性格になりやすいのです。

 協調運動が苦手な子どもも、単純に走ったり滑ったり型をとったりする繰り返し運動は得意なことも多く、複雑で機転が必要な集団競技よりは、スキーやスケート、陸上、自転車、なわとび、とび箱、鉄棒、マット運動などの個人競技が向いています。

 また、合気道や空手、柔道、少林寺拳法などの武道もよいと思います。

 体を動かして鍛えながら、心を整えていくこともできるという意味で、合気道や空手のような武道系は、敏感気質の人に合っていると言えそうです。合気道も空手も、まさに相手と気を合わせることが重要です。敏感な人は気を扱うことに長けている人が多いのです。

 武道で心身が整えられた人は、不思議なくらいに自信がみなぎってきます。運動神経の少々鈍い子どもでも、自己肯定感を身につけることができます。

 もちろん、本人がやりたいという気持ちになるかどうかが一番重要ですが、その気になるのであれば、とても向いていると言えるのではないでしょうか。

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著者

長沼 睦雄

十勝むつみのクリニック院長。1956年山梨県甲府市生まれ。北海道大学医学部卒業後、脳外科研修を経て神経内科を専攻し、日本神経学会認定医の資格を取得。北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了後、障害児医療分野に転向。北海道立札幌療育センターにて14年間児童精神科医として勤務。平成20年より北海道立緑ヶ丘病院精神科に転勤し児童と大人の診療を行ったのち、平成28年に十勝むつみのクリニックを帯広にて開院。HSC/HSP、神経発達症、発達性トラウマ、アダルトチルドレン、慢性疲労症候群などの診断治療に専念し「脳と心と体と食と魂」「見えるものと見えないもの」のつながりを考慮した総合医療を目指している。

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