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よみものどっとこむ

第120回

320話~321話

2017.01.18更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

320 何よりも自然な人情を大切にしたい


【現代語訳】

楚の地方長官である葉公が孔子先生に言った。「私の領内に正直で有名な者がいます。その父親が羊をかすめたのですが、子どもの彼は、その盗みの事実を証言したのです」。

先生は言われた。「私どもの村の正直者はそれと違います。父は子のために隠し、子は父のために隠します。それがあるべき正直であり、自然な人情ではないでしょうか」。


【読み下し文】

葉公(しょうこう)、孔子(こうし)に語(かた)りて曰(いわ)く、吾(わ)が党(とう)に直躬(ちょくきゅう)(※)なる者(もの)有(あ)り。其(そ)の父(ちち)、羊(ひつじ)を攘(ぬす)(※)む。而(しこう)して子(こ)、之(これ)を証(しょう)せり。孔子(こうし)曰(いわ)く、吾(わ)が党(とう)の直(なお)き者(もの)は是(これ)に異(こと)なり。父(ちち)は子(こ)の為(ため)に隠(かく)し、子(こ)は父(ちち)の為(ため)に隠(かく)す。直(なお)きこと其(そ)の中(なか)に在(あ)り(※)。


(※)直躬……正直者。なお、直躬を人名とする説もある。そうすると「私の領内に直躬という者がいます」と解される。しかし、本書のように読むのが素直でおもしろい。

(※)攘……迷い込んだものをそのまま隠しとること。横領。

(※)直きこと其の中に在り……正直という本来の意義はそこに自然と含まれている。


【原文】

葉公語孔子曰、吾黨有直躬者、其父攘羊、而子證之、孔子曰、吾黨之直者異於是、父爲子隱、子爲父隱、直在其中矣、


321 恭、敬、忠を忘れてはならない


【現代語訳】

樊はん遅ち が仁についてたずねた。孔子先生は言われた。「家でのんびりくつろいでいても、慎むことは忘れてはいけない(恭)。仕事をする時は、それに打ち込んでまじめに行う(敬)。人とつき合う時は、まごころをもって接する(忠)。以上の三つのことは、たとえ野蛮な地に行っても忘れてはならない」。


【読み下し文】

樊遅(はんち)、仁(じん)を問(と)う。子(し)曰(いわ)く、居処(きょしょ)(※)するに恭(うやうや)(※)しく、事(こと)を執(と)るに敬(つつし)み、人(ひと)に与(むか)って忠(ちゅう)ならば、夷狄(いてき)に之(ゆ)くと雖(いえど)も、棄(す)つべからざるなり。


(※)居処……家にいてのんびりしていること。

(※)恭……うやうやしくしていること。慎んでいること。


【原文】

樊遲問仁、子曰、居處恭、執事敬、與人忠、雖之夷狄、不可棄也、


*322話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。


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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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