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論語 全文完全対照版 野中根太郎

第125回

332話~334話

2017.01.25更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

332 準備なしの戦争をしてはいけない


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「教育、訓練もしないで民を戦争に用いるようであれば、必ず敗ける。これは民をただ殺してしまうようなものである」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、教(おし)えざるの民(たみ)を以(もっ)て戦(たたか)う。是(これ)、之(これ)を棄(す)つると謂(い)う。


【原文】

子曰、以不敎民戰、是謂棄之、


憲問(けんもん)第十四


333 正しいことをやっていない組織で働くのは恥である


【現代語訳】

原憲(げんけん)(※)が恥についてたずねた。孔子先生は言われた。「国に正しい道が行われている時に俸禄を受けて働くのはよいことだ。しかし、国に正しい道が行われていない時でも、俸禄を受けて仕事をするのは恥である」。


【読み下し文】

憲(けん)、恥(はじ)を問(と)う。子(し)曰(いわ)く、邦(くに)に道(みち)有(あ)らば榖(こく)(※)する。邦(くに)に道(みち)無(な)くして榖(こく)するは、恥(はじ)なり。


(※)原憲……122話参照。姓は原。名は憲。字は子思。孔子の門人で、清廉の士とされている。原憲は、国に正しい道が行われていても俸禄を受けるのはよくないと偏狭な考えを持っているところがあったので、これを孔子がたしなめたと思われる。なお、次の334話も、この論語に続くものとして、一つの文章と見る説もある。しかし、違う文章だと解するほうがわかりやすい。

(※)榖……俸禄。俸禄をもらうこと。


【原文】

憲問恥、子曰、邦有衜穀、邦無衜穀、恥也、


334 仁とは学問、人への愛、忠恕などの積極的な面も要す


【現代語訳】

原憲が、「人が、いたずらに他人に勝とうとすることをやめ、自慢せず、人をうらやまず、欲ばらなければ、仁の人と言えるでしょうか」とたずねた。

孔子先生は言われた。「確かにそれは難しいことだ。ただ、それができるだけで仁と言えるかどうかは、私にはわからない(もっと積極的な学問や愛、忠恕などをその人に問うことによってわかるのではないか)」。


【読み下し文】

克(こく)(※)、伐(ばたう)(※)、怨(えん)、欲(よく)、行(おこな)われざるは、以(もっ)て仁(じん)と為(な)すべきか。子(し)曰(いわ)く、以(もっ)て難(かた)しと為(な)すべし。仁(じん)は則(すなわ)ち吾(われ)知(し)らざるなり。


(※)克……人に勝つことを好む。

(※)伐……自分の功績を誇る。


【原文】

克伐怨欲不行焉、可以爲仁矣、子曰、可以爲難矣、仁則吾不知也、


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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

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