Facebook
Twitter
RSS

よみものどっとこむ

第142回

372話~373話

2017.02.17更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

372 人は何とでも言え。理想に向かうのみ


【現代語訳】

子路は魯に帰ろうとしたが遅くなり、魯の城外の石門で一夜を明かした。翌朝、子路が門を通ろうとした時、門番がたずねた。「どちらから来たのですか」。

子路は答えた。「孔子先生のところからです」。

すると門番は言った。「ああ、あのできもしない理想に向かってあれこれがんばっている人ですか」。


【読み下し文】

子路(ろ)、石門(せきもん)に宿(しゅく)す。晨門(しんもん)(※)曰(いわ)く、奚(いず)れ自(よ)りす。子路(しろ)曰(いわ)く、孔子(こうし)自(よ)りす。曰(いわ)く、是(こ)れ其(そ)の不可(ふか)なるを知(し)りて、之(これ)を為(な)さんとする者(もの)か。


(※)晨門……晨(朝)に門を開く門番のこと。


【原文】

子路宿於石門、晨門曰、奚自、子路曰、自孔氏、曰、是知其不可而爲之者與、


373 あきらめずに志に向かってこその人生ではないか


【現代語訳】

孔子先生が衛(えい)の国で磬(けい)(※)という楽器を打っていた。もっこをかついだ者が先生の泊まっておられる家の門前を通りすぎる時、言った。「心が出ている音だなあ」。

しばらく聞いてまた言った。「かたくなで、コチコチの音だ。世の中に自分を知ってくれる人がいないなら、自分から引いてやめてしまえばいい。詩経にも『水が深ければ衣を脱ぎ、浅ければすそをまくりあげればいい』と融通に生きることを述べている句があるよ」。

門人からその言葉を伝え聞いて、先生は言われた。「ずいぶん思い切りのいいことを言うものだ。やめてしまうことは簡単なことかもしれないが、そうはいくまい(それでは世の中よくなっていかないし、第一、我が人生もつまらない)」。


(※)磬……玉でつくった楽器。


【読み下し文】

子(ろ)、磬(けい)を衛(えい)に撃(つ)つ。蕢(き)(※)を荷(にな)いて孔氏(こうし)の門(もん)を過(す)ぐる者(もの)あり。曰(いわ)く、心(こころ)有(あ)るかな。磬(けい)を撃(う)つや、と。既(すで)にして曰(いわ)く、鄙ひ(※)なるかな。硜硜(こうこう)たるや。己(おのれ)を知(し)る莫(な)くんば、斯(これ)に已(や)まんのみ。深(ふか)ければ則(すなわ)ち厲(ころもぬ)ぎ、淺(あさ)ければ則(すなわ)ち掲(すそかか)ぐ。子(し)曰(いわ)く、果(か)(※)なるかな。之(これ)を難(かた)しとする末(な)きなり。


(※)蕢……もっこ。草でつくった土を運ぶ入れ物。

(※)鄙……かたくな。コチコチ。

(※)果……思い切りのよいこと。果断。


【原文】

子擊磬於衞、有荷蕢而過孔氏之門者、曰、有心哉擊磬乎、既而曰、鄙哉、硜硜乎、莫己知也、斯已而已矣、深則厲、淺則掲、子曰、果哉、末之難矣、


*373話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。


【単行本好評発売中!】この連載が本になりました。全国書店もしくはネット書店にてご購入ください。

この本を購入する
シェア

Share

感想を書く感想を書く

※コメントは承認制となっておりますので、反映されるまでに時間がかかります。

著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

矢印