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よみものどっとこむ

第17回

46話~48話

2016.08.10更新

読了時間

46 やってはいけないことはいけないのだ(貴族の非礼を嘆く)


【現代語訳】

魯(ろ)の権力者で大夫(貴族)の地位にある季氏が、君主が行うとされている泰山(たいざん)の神の祭(まつり)(旅)を行おうとした。孔子先生は、季氏の家老をしていた弟子の冉(ぜん)有(ゆう)(※)に、「止められないのか」と問うた。冉有は、「もはや無理です」と答えた。

すると孔子先生は次のように嘆いた。「弟子の林放でさえ礼の根本をたずね、考えているのに、泰山の神がこの非礼をわからないわけがないだろう」。


(※)冉有……魯の人で孔子の門人。孔子より二十九歳年少。性格は謙譲温和だったとされる。


【読み下し文】

季(き)氏(し)、泰山(たいざん)に旅(りょ)(※)す。子(し)、冉(ぜん)有(ゆう)に謂(い)いて曰(いわ)く、女(なんじ)救(すく)う能(あた)わざるか。対(こた)えて曰(いわ)く、能(あた)わず。子(し)曰(いわ)く、嗚呼(ああ)、曾(すなわ)ち泰(たい)山(ざん)は林(りん)放(ぽう)に如(し)かずと謂(い)えるか。


(※)旅……祭りの名。天子は天子の名山を祭り、諸侯は自国内の山を祭るのが礼とされている。


【原文】

季氏旅於泰山、子謂冉有曰、女弗能救與、對曰、不能、子曰、嗚呼、曾謂泰山不如林放乎、


47 争いは好まないほうがいい


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「君子すなわち私たちがめざす人格者は、人と争うことはしない。勝負ごとも好まないが、やるとしたら弓を射るなどの競技ぐらいか。その場合でも、礼儀正しくし、終わってからもお互いをたたえ合って飲む(たとえ形式上は罰杯であったとしても)。こういうやり方こそ君子のやり方ではないか」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、君子(くんし)は争(あらそ)う所(ところ)なし。必(かなら)ず射か。楫譲(そうじょう)して升(のぼり)り、下(くだ)りて飲む。其(そ)の争(あらそ)いや君子(くんし)なり。


【原文】

子曰、君子無所爭、必也射乎、揖讓而升下、而飮、其爭也君子、


48 心や中味が大事で、礼儀はそれを仕上げるものである


【現代語訳】

子夏がたずねた。詩経(しきょう)の中にある、「笑う口もとが愛らしく、目はぱっちりと美しい。そのうえに、さらに化粧をしてあでやかにする」とはどういうことをいっているのですか。

孔子先生は言われた。「絵においては、まず彩色して、後に胡粉(ごふん)で仕上げるものだが、そのようなものだ」。

子夏は言った。「礼は人の中味ができてからの仕上げということですね」。

孔子は感心した。「私がまだ気づいていないことをいってくれた。商(子夏)よ。お前こそ、ともに詩経を語るに足る人だ」。


【読み下し文】

子(し)夏(か)問(と)うて曰(いわ)く、巧笑倩(こうしょうせん)たり。美(び)目盼(もくせん)たり。素(そ)以(もっ)て絢(あや)と為(な)すとは、何(なん)の謂(い)いぞや。子(し)曰(いわ)く、絵事(えごと)は素(そ)の後(のち)にす。曰(いわ)く、礼(れい)は後(のち)なるか。子(し)曰(いわ)く、予(よ)を起(おこ)す者(もの)は商(しょう)なり。始(はじ)めて与(とも)に詩(し)を言(い)うべきのみ。


【原文】

子夏問曰、巧笑倩兮、美目盼兮、素以爲絢兮、何謂也、子曰、繪事後素、曰禮後乎、子曰、起予者商也、始可與言詩已矣、

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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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