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論語 全文完全対照版 野中根太郎

第173回

445話~447話

2017.04.04更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

445 地位が高くて偉そうにしていても中身がなければ、こそ泥と同じだ


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「顔つきや態度は偉そうにして立派に構えているが、内心は弱くて卑怯(ひきょう)な地位だけが高い人たちは、下々の者たちでたとえてみるなら、びくびくしながら盗みを働くこそ泥のようなものである」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、色厲(いろはげ)(※)しくして、内荏(うちやわ)(※)らかなるは、諸(これ)を小人(しょうじん)に譬(たと)うれば、其(そ)れ猶(な)お穿窬(せんゆ)の盗(とう)(※)のごときか。


(※)色厲……「いろれいにして」と読む場合もある。偉そうにしていること。

(※)内荏……「うちじんなる」と読む場合もある。内心が弱くてだめなこと。

(※)穿窬の盗……こそ泥。「穿」は家の壁に穴を開けること。「窬」は塀を越えること。


【原文】

子曰、色厲而內荏、譬諸小人、其猶穿窬之盜也與、


446 人気取りの八方美人は、見かけはよいが実は徳の敵である


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「その村で善い人といわれる人は、実はただの八方美人で、かえって徳をそこなう食わせ者であることも多いので気をつけるべきである」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、郷原(きょうげん)(※)は徳(とく)の賊(ぞく)なり。


(※)郷原……「郷」は鄙俗(ひぞく)の意。「原」は愿と同じで謹厳なこと。まじめなこと。


【原文】

子曰、鄕原德之賊也、


447 「道聴途説(どうちょうとせつ)」は徳を棄てる行為


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「道の途中で善いことを聞いても、そのすぐあとの道で出会った人に聞いたことを話して、それでおしまいというのは、自ら徳を棄(す)てる行為である」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、道(みち)すがら聴(き)きて、塗(みち)(※)すがら説(と)くは、徳(とく)を之(こ)れ棄(す)(※)つるなり。


(※)塗……途、途中での意。

(※)棄……廃棄すること。捨てること。


【原文】

子曰、衜聽而塗說、德之棄也、



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

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