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よみものどっとこむ

第67回

188話~189話

2016.10.27更新

読了時間

188 為政者への遺言


【現代語訳】

曾子(そうし)が病気で危篤となり、魯(ろ)の大夫(貴族)の孟(もう)敬子(けいし)が見舞いに来た。曾子は言った。「昔から『鳥がまさに死のうとする時の声は悲しい。人がまさに死のうとする時の言葉には正しいものがある』と言われています。ですから私の話をよく聞いてください。人の上に立つ君子として、三つのことを大事に守るべきです。第一に、身体容貌の動きを礼にかなった荘重なものとすれば、他人の粗暴を遠ざけることができます。第二に、自分の顔色に誠実さを表わして礼にはずれないようにすれば、自然に人から欺かれることはなくなります。第三に、言葉使いも正しく礼にはずれなくしていると、道理に背いた人の言葉を遠ざけることができます。祭祀(さいし)における祭器をどうするかなどといった礼の細かなことは、それぞれの担当者に任せればよいのです」。


【読み下し文】

曾子(そうし)、疾(やま)いあり。孟(もう)敬子(けいし)(※)、これを問(と)う。曾子(そうし)、言(い)いて曰(いわ)く、鳥(とり)の将(まさ)に死(し)なんとするや、其(そ)の鳴(な)くこと哀(かな)し。人(ひと)の将(まさ)に死(し)なんとするや、其(そ)の言(い)うこと善(よ)し、とあり。君子(くんし)の道(みち)に貴(とうと)ぶところのもの三(さん)あり。容貌(ようぼう)を動(うご)かしては、斯(ここ)に暴慢(ぼうまん)に遠(とお)ざかる。顔色(がんしょく)を正(ただ)しくしては、斯(ここ)に信(しん)に近(ちか)づく。辞(じ)気(き)を出(いだ)しては斯(ここ)に鄙(ひ)倍(ばい)(※)に遠(とお)ざかる。籩(へん)豆(とう)(※)の事(こと)には、則(すなわ)ち有司(ゆうし)(※)存(そん)す。


(※)孟敬子……魯の大王の仲孫氏で、名は捷。字は儀。敬子は諡である。

(※)鄙倍……道理に背いたこと。

(※)籩豆……「籩」は竹でつくった祭器で果物や肉を盛る。「豆」は木でつくった祭器で塩漬けの野菜などを盛る。

(※)有司……係の者。


【原文】

曾子有疾、孟敬子問之、曾子言曰、鳥之將死、其鳴也哀、人之將死、其言也善、君子所貴乎道者三、動容貌、斯遠暴慢矣、正顔色、斯近信矣、出辭氣、斯遠鄙倍矣、籩豆之事、則有司存、


189 自分を向上させることに終わりはない


【現代語訳】

曾子は言った。「才能が十分ありながら、才能がない者にも素直に教わろうとし、知識が十分ありながら、知識の少ない者にも自分の知らないことがあるのではないかと質問する。人格も十分できているのに、まだまだとさらなる向上を求め、他人から争いをしかけられても張り合うこともしない。昔のことだが、こういうことが実際にできていた友(顔回)がいたのだ」。


【読み下し文】

曾子(そうし)曰(いわ)く、能(のう)を以(もっ)て不能(ふのう)に問(と)い、多(おお)きを以(もっ)て寡(すくな)きに問(と)う。有(あ)れども無(な)きが若(ごと)く、実(み)てるも虚(むな)しきが若(ごと)し。犯(おか)さるるも校(こう)(※)せず。昔(むかし)は吾(わ)が友(とも)、嘗(かつ)て斯(ここ)に従事(じゅうじ)したりき。


(※)校……張り合う。報の意で「むく」いずとも読む人がいる。


【原文】

曾子曰、以能問於不能、以多問於寡、有若無、實若虚、犯而不校、昔者吾友嘗從事於斯矣、



*188話は長文のため、今回は2話のみの掲載となります。

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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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