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よみものどっとこむ

第84回

236話~238話

2016.11.22更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

郷党(きょうとう)第十


236 私事では控えめでも、仕事では明確に発言する


【現代語訳】

孔子先生が自分の家や地元にいる時は、控え目でおとなしく、まるで物が言えない人のようであった。しかし、宗(そう)廟(びょう)での祭祀(さいし)や朝廷での仕事の時は、すらすらはっきりと発言された。もちろん慎重であり、余計なことは口にされなかった。


【読み下し文】

孔子(こうし)、郷党(きょうとう)に於(お)いては、恂恂如(じゅんじゅんじょ)(※)たり。言(い)う能(あた)わざる者(もの)に似(に)たり。其(そ)の宗(そう)廟(びょう)、朝廷(ちょうてい)に在(あ)るや、便便(べんべん)として言(い)う。唯(た)だ謹(つつ)しむのみ。


(※)恂恂如……控え目でおとなしい。「如」は形容詞につける助字。


【原文】

孔子於鄕黨恂恂如也、似不能言者、其在宗廟朝廷、便便言唯謹爾、


237 相手に合わせて話す


【現代語訳】

孔子先生は、朝廷での仕事場で部下の者と話す時は、打ちとけて柔らかく話し、上司と話す時は臆することなく、大切なことをはっきりと言われた。君主がいる時は、うやうやしく慎んで話されたが、ゆったりと落ちついておられた。


【読み下し文】

朝(ちょう)において下大夫(かたいふ)と言(い)うには、侃侃如(かんかんじょ)たり。上大夫(じょうたいふ)と言(い)うには、誾誾如(ぎんぎんじょ)たり。君(きみ)在(いま)せば踧踖(しゅくせき)(※)如(じょ)たり、与与(よよ)(※)如(じょ)たり。


(※)踧踖……慎み深く、うやうやしくの意。

(※)与与……ゆったりと落ち着いて、硬くならない。


【原文】

朝與下大夫言侃侃如也、與上大夫言誾誾如也、君在踧踖如也、與與如也、


238 礼儀を守り、相手を心よくする


【現代語訳】

孔子先生は君主から召されて貴賓(きひん)の接待をなさる時、緊張した奮囲気を出され、足どりはきびきびしている様子であった。立ち並ぶ同役の接待係にあいさつなさって手を左右に向ける時、衣服の前後はひらひらと動くが乱れることはない。お客様を案内して小走りに進まれる時、ひじを張るので両そでが翼のように見えて美しい。お客様が帰られる時はこれを見送られ、必ず復命なされて、「お客様が振り返ることがなくなるまで見送りました」と言われた。


【読み下し文】

君(きみ)、召(め)して擯(ひん)せしむれば、色(いろ)、勃如(ぼつじょ)(※)たり。足(あし)、躩如(かくじょ)(※)たり。与(とも)に立(た)つ所(ところ)に揖(ゆう)するには、手(て)を左右(さゆう)にし、衣(ころも)の前後(ぜんご)は襜如(せんじょ)(※)たり。趨(はし)り進(すす)むには翼如(よくじょ)たり。賓(ひん)、退(しりぞ)けば必(かなら)ず復命(ふくめい)して曰(いわ)く、賓(ひん)、顧(かえり)みずと。


(※)勃如……顔色をおごそかにすること。緊張した雰囲気を出すこと。

(※)躩如……きびきびとした足どり。きざみ足で急ぐ。

(※)襜如……衣服がひらひらと動いても乱れない様子。


【原文】

君召使擯、色勃如也、足躩如也、揖所與立、左右其手、衣歬後襜如也、趨進翼如也、賓退、必復命曰、賓不顧矣、



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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