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よみものどっとこむ

第85回

239話~240話

2016.11.24更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

239 宮殿における振る舞い


【現代語訳】

孔子先生が宮殿の門に入る時は、慎みおそれるようにされ、入ることを恐縮するような様子であった。門に立つ時も、中央(君主の通る道)には立たれず、門の敷居を踏まないようにされた。門の中に君主が立たれるところがあるが、そこに君主がおられなくても顔はひきしまり、足は小きざみに運ばれ、言葉も慎まれた。君のいる堂にのぼる時には、服のすそを踏まないように、すそをあげて慎重になされた。その時の息をひそめる様子は、緊張されているように見えた。君主の前から下がり、階段を一つ下りるたびに、顔から緊張の色がとれていかれた。階段を下り終わると、軽快に自分の席まで行かれ、その姿は翼つばさが生えたようであった。席に戻ると、慎み深く、落ちついた様子になられた。


【読み下し文】

公門(こうもん)に入(はい)るには、鞠躬(きくきゅう)(※)如(じょ)たり。容(い)れられざるが如(ごと)し。立(た)った門(もん)に中(ちゅう)せず、行(い)くに閾(しきい)を履(ふ)まず。位(くらい)を過(す)ぐるには、色(いろ)、勃如(ぼつじょ)たり。足(あし)、躩如(かくじょ)たり。其(そ)の言(げん)は足(た)らざる者(もの)に似(に)たり。斉(もすそ)を攝(かか)げて堂(どう)に升(のぼ)るには、鞠躬(きくきゅう)如(じょ)たり。気(き)を屏(おさ)めて、息(いき)せざる者(もの)に似(に)たり。出(い)でて一等(いっとう)を降(くだ)れば、顔色(がんしょく)を逞(はな)ち、怡怡(いい)如(じょ)(※)たり。階(きざはし)を没(つく)して趨(はし)り進(すす)むには、翼(よく)如(じょ)たり。其(そ)の位(くらい)に復(かえ)りては、踧踖(しゅくせき)如(じょ)たり。


(※)鞠躬……慎み恐れるようにすること。慎んでかがむ様子。

(※)怡怡如……晴れやかで、緊張の色が取れている様子。


【原文】

入公門、鞠躬如也、如不容、立不中門、行不履閾、過位色勃如也、足躩如也、其言似不足者、攝齊升堂鞠躬如也、屛氣似不息者、出降一等、逞顏色怡怡如也、沒階趨進翼如也、復其位踧踖如也、


240 使者の務めをきちんと果たす


【現代語訳】

孔子先生が君主の使者として外国に行かれた時、圭(けい)を両手に持って捧げる時は、圭が重くて大事なものであるかのように大切に扱われた。また、圭を上げられる時は胸の高さまでであり、下げられる時は腰のあたりまでであった(圭を扱う際の作法)。その時の顔は緊張した様子で、震えているかのようにしていた。歩かれる時はすり足であった。その後の公式の贈答の席では、くつろいでゆったりとされた奮囲気であった。さらに非公式の個人としての謁見(えっけん)の時は、もっとくだけられて愉快そうであった。


【読み下し文】

圭(けい)(※)を執(と)るには鞠躬(きくきゅう)如(じょ)たり。勝(た)えざるが如(ごと)し。上(あ)ぐるには揖(ゆう)するが如(ごと)く、下(さ)ぐるには授(さず)くるが如(ごと)くす。勃如(ぼつじょ)として戦(おのの)く色(いろ)あり。足(あし)は蹜蹜(しゅくしゅく)として循(したが)うところ有(あ)るが如(ごと)し。享礼(きょうれい)(※)には容色(ようしょく)有(あ)り。私覿(してき)(※)には、愉愉如(ゆゆじょ)たり。


(※)圭……天子(てんし)が諸侯を封ずる時に授ける時にその位(くらい)の玉の笏(しゃく)。諸侯が大夫を他国へ使いにやる場合には、信任状として模造の圭を持たせた。

(※)享礼……正式会見の後に開かれる贈り物披露。公式の宮会。

(※)私覿……享礼の後に行われる個人としての謁見。


【原文】

執圭鞠躬如也、如不勝、上如揖、下如授、勃如戰色、足蹜蹜如有循、享禮有容色、私覿愉愉如也、


*239話は長文のため、今回は2話のみの掲載となります。



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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